ベトナムに住んでいます、というと、多くの人に珍しがられる。
もちろん、ベトナムという土地に住んでいるひともめ珍しいのだろうが、何の目的で?というところに興味があるようなのだ。
「お仕事ですか?ベトナムでビジネスをされているのですか?」
と聞かれるのだが、そうではない。ベトナムは、本当にただ住んでいるだけである。結婚していて奥さんも一緒に住んでいるので、こちらが生活の拠点だ。本当に、単に好きなところに住んでいるのである。
なぜベトナムに?
こう言うと、ひたすら驚かれる。単に住みたいところに住むという発想で、住む場所を決めるというひとは少ないらしい。
なんでベトナムにしたのか?ということもよく聞かれる。
私が住んでいるベトナムのホイアン市は、400年ほどまえの古い町並みが残っている旧市街で、世界遺産にも指定されている。
その旧市街地区から、バイクで5分ほどの一軒家。旧市街は東にあるが、こんどは西に5分ほどバイクを走らせると、ビーチがある。ローカルのビーチで、のんびりしながらビールを飲む夕下がりはとてもリラックスしたものだ。さらに、ビーチには、国際的な5つ星ホテルも並んでいて、ラグジュアリーなステイも楽しめる。
歴史遺産あり、ビーチあり、ローカル色あり、5つ星ホテルありと、なんでもワンストップでまかなえる、素晴らしい場所なのだ。
私は、生まれてこのかた30年来日本に住んでいたので、はっきり言って飽きた。そろそろ海外でも住むかと考えて、住む場所を探す旅にでた。1か月ほどかけて、アジア全域の都市をまわって、シンガポールから、マレーシア、カンボジアやフィリピン、ベトナム、インドネシアと回った。そのなかで、いちばん良かった場所に引っ越した。そしてかれこれもう3年以上が立つ。
この場所には、楽しいことがほとんど何でも揃うが、ないのは仕事である。日本人の雇用は皆無で、せいぜいホテルで働くか、旅行会社で働くの2択くらいである。
当然私の仕事もないわけだが、通信環境やLCCの普及にともなって、ベトナムにいながらにしてほとんどの仕事をすることができる。
都心に住まなくても
まず対面で現場に張り付くことが必要な仕事はすべてやめた。会員制のサロンビジネス(ノマド研究所)を始めて、Facebookの書き込みだけで収入が得られるようにした。
必要なミーティングは、すべてGoogle Hangoutsで行い、時間を節約した。
シンガポールや、カンボジアなど飛行機で1時間程度の国に住むビジネスの仲間を増やして、彼らと一緒に仕事をするようにした。
こちらは生活費が安いので、生活だけで言えば、週に4時間くらい働ければ大丈夫だ。のこりの時間は、すぐにお金を生み出さない活動に当てても大丈夫だ。好きなことだけして暮らすことができる。
最近は、国内外での移住がブームだとのこと。都心に住まなくても、どこでも仕事ができるライフスタイルが注目されているが、このライフスタイルがようやく知られるようになり、世間からも認められるようになってきた。
なぜそこに住んでいるんですか?ときかれて、いや単に住みたいからだよと、答えて通るようになる日は近いと思う。(大石哲之)