「海外の現地採用で就職をすると、日本に帰って仕事がないのではないか?」と心配する人は結構います。
ただ、たくさんの海外で働いている人と話をしている私からすると、「それほど心配しなくてもいい」とお伝えしています。
海外で働いていて、日本に帰った人も、なんやかやで仕事は見つかるし、海外の経験を活かしていいポジションに就く人もいるのです。
彼の経験に白羽の矢
その中のひとり、ジャカルタでフリーペーパーを作る仕事をしていて、日本の大手企業で働く予定という男性(30)の話を聞いてみました。
彼は、ジャカルタで現地人向けのフリーペーパーを作る仕事をしていました。彼は同世代の日本人の若者と比べても遜色ない(むしろ多い方の)給料をもらっていました。
インドネシア人向けの訪日観光フリーペーパーを編集長として創刊し、軌道に乗ったため、何か次の仕事を探そうかと調べてみたところ、求人があったのが、この会社だったのです。
応募すると、外国人と仕事で接したことがある、彼の経験に白羽の矢が立った形で、話は進んだそうです。
「外国人のニーズをわかっている」強み
待遇も、ジャカルタ時代よりも上がっており、同年代の新卒で大企業に入った人たちの平均よりも少し上くらいでしょう。なにせ、社内に替えがいないポジションなので、貴重な人材として扱われますし、権限も与えられ自由に行動ができます。
就職活動時、この会社以外にも数社、日本の大企業からお誘いがあり、選べる状態でした。「海外帰りの日本就職、むしろ有利ですよ」と、彼は言っています。
もちろん、「これは海外でどんな仕事をしていたとしても、日本で就職できる」というわけではありません。有名企業であるシャープに10年以上勤めていても、希望退職組の2割くらいは(1年以内で)再就職できない人もいるように、全ての人がオールオッケーな訳ではありません。
例えば、今回の彼のように「外国人のニーズをわかっている」といった、次の業務に活かせる強みをもっているかが鍵になるわけです。
つまり、国内で働いていようと、海外で働いていようと、なにかしらの「強み」を作る事が大切です。そして、その「強み」が業務の役に立つ様な会社であれば、よい待遇で雇ってくれるのです。
今、日本国内では、外国人観光客を「おもてなす」ことができる人材が不足しています。それ以外にも、外国人のエンジニアと一緒にプロジェクトを回せる人材や、海外にものを売る業務を担当できる人材など、外国、特にアジアと日本の接点になれる人材を求めている会社は多いです。
今、海外で働いている人も、これから海外を目指す人も、このようなニーズに敏感になり、自分のキャリアプランを作っていってください。(森山たつを)