今までの組織運営では不足している部分が明確に
先輩経営者に事業多角化による拡大の話をしたところ、「組織を次のステージに上げて成長させていきたいのなら、思い切って新卒採用を始めなさい」と意外なアドバイスをされたそうです。W社長が、「うちに新人を一から育ててモノにするなどという余裕はとてもないです」と返すと、「新人を教育するのではない、組織を新人に教育してもらうのだよ」と言われたのだと。
先輩の意図は、新人を一人前の戦力としてしっかりと育て上げようと思って真剣に取り組むなら、新人の教育に合わせて制度を変えたり、体制を整えたり、組織の意識を変革させたり、今までの組織運営では不足している部分が明確になる。そして、それを毎年毎年積み重ねていくうちに知らず知らず組織は成長し、どこに出しても恥ずかしくない立派な会社になるのだということ。W社長は、そんな有難いお話に決意を新たにしたようでした。
「事業多角化と言うこの機会に、組織も大きく成長しなくてはいけない。私は新人に組織を教育してもらう精神で採用に臨むべきと思いました。そのためには、来年4月の新人入社に向けて、まずは管理者の教育をしなくてはいけないですね」
私は新卒採用に賭ける並々ならぬ社長の決意を見せられ、当然その意向に賛同しました。使い捨ての駒として新人採用する企業と新人と共に成長しようと志す企業。その将来が自ずと違ったものになるのは明白であると思います。(大関暁夫)