「現役時代は、プロのモデルとして、がむしゃらに勉強しましたね」と語るのは、元モデルで、現在は若い女の子たち向けの「ウォーキングスクール講師」として活躍する、明美さん(26)。身長は173センチと高く「小顔」で、街を歩けば誰もが振り返るような美人です。
そんな明美さんに、「モデル業界の裏側って、どうなってるの?」と、伺ってみました(事実関係は一部、変えてあります)。
まずは事務所内で「セレクション」
地方出身の明美さんは、大学時代にスカウトされ、すぐにモデル事務所に所属が決まったそうです。ところが、事務所に入ってからが大変でした。
「所属事務所はそこまで大手じゃないけど、それなりに大きなテレビCMや、広告、雑誌のオーディション話は来ます。ただ、すぐにオーディションに出られるわけじゃない。まず、事務所内で『セレクション』があって、そこで、『オーディションに出るモデルの子』が選ばれるんです」
ファッション誌に出られる「前」の段階で、オーディションがあるわけですが、さらにその手前で、事務所内の「セレクション」があるのですね。「セレクション」のハードさは、かなりの重圧だったといいます。事務所が、自分をどう評価しているかが分かるわけですから。
明美さんの表情が、それまでのニコニコした笑顔から、少し厳しい顔つきに変わったのは、筆者が「読者モデルと、プロのモデルの違いってなんですか?」と、無邪気に尋ねたときのことでした。
「読者モデルと、プロはまったく違います。いちばん違うのは『カット数』。読者モデルさんは、1枚くらい適当に撮って終わり。メイクさんもつかないし、ギャラもほとんど出ません。でも、プロは違う。何千枚と撮って、その度にメイクさんが入って、また撮って、モニターで確認して・・・ポージングも、読者モデルさんみたいに、ただ立っていればいいというわけではない。私は雑誌を見て、ひたすら研究しました。雑誌に出ている写真が『誰もが認める完成形』なわけですから」(明美さん)
昨今は、「読者モデル出身のカリスマ専属モデル」も、結構いるようですが、やはり多くの「読モ」と、プロのモデルは、現場での扱いからして、まったく違うのだそう。そのあからさまな「差」を見ることで、明美さんの「プロモデル根性」は、磨かれていったのかもしれません。
モデル「卒業後」のキャリアを模索中
そんな明美さんですが、現在は「引退」し、次なるキャリアを模索しているところです。
「モデルをずっと続けるより、なにか別のことをしたいと思ったんです。人と接するのが好きだったから、若い子を育てる方が、自分には合ってると思って」
そう悟った明美さんは、ウォーキング講師になりました。月に何度か、都内のスタジオを借りて、モデル志望の女の子たちに「歩き方」や「ポージング」を教えています。
「10代から20代前半まで、色んな女の子がいますよ。みんな『モデルになりたい』と一生懸命で、こちらも元気がでます」
でも、教える側の「苦労」はないですか?
「レッスン中に『他の先生はこう言ってましたよ』と言われると、やっぱり落ち込みますね。自分より優秀な教え方をする先生がいるのかな、と。でも、20代のうちは講師として頑張りたい。そこからは、まだ決めていませんが、美容関連の仕事に就いていたいかな」(明美)
悩んでいるように見えた彼女ですが、モデル時代を回顧する表情は、まさに「プロ」そのもの。これからも、「美」に携わる業界の中で、活躍していくことでしょう。華やかに見える業界には、きっと、明美さんのように、キャリアを模索する女子が、沢山いるのだと思います。(北条かや)