他人事ではない最低賃金 「10月から」気をつけるべきコト

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政府、中小企業経営者... それぞれの思惑

   内閣府の試算によると、最低賃金をわずかに上回る水準で働く労働者は全国に300万~500万人おり、最低賃金が20円上がれば、総雇用者所得が最大で900億円増える効果があるという。

   最近の春闘においては大企業の賃金アップが軒並み実現しているものの、全法人の99%を占める中小零細企業においては、まだまだ待遇改善の恩恵に与れていないという思いが根強い。

   その点、最低賃金の引き上げは強制力があるため、中小企業の従業員はもちろん、アルバイトやパートとして働く人の待遇改善につながり、彼らの消費支出を増やし、経済にも貢献する可能性をも期待しているようだ。

   しかし一方で、財務基盤が弱い中小企業のコストを押し上げてしまうこと、賃上げ分がそのまま消費に直結するわけではないこと、などのリスク要因も懸念される。

   政府としては、厚生労働省や経済産業省などと連携して、中小企業への助成金など支援策を実施することも同時に示しているので、事業者の皆さんには使えるリソースを使いつつ、働く人が安心して生活できる世の中へと官民力を合わせて取り組んでいきたいものである。

新田 龍(にった・りょう)
ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、ブラック企業ランキングワースト企業で事業企画、営業管理、人事採用を歴任。現在はコンサルティング会社を経営。大企業のブラックな実態を告発し、メディアで労働・就職問題を語る。その他、高校や大学でキャリア教育の教鞭を執り、企業や官公庁における講演、研修、人材育成を通して、地道に働くひとが報われる社会を創っているところ。「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)など著書多数。ブログ「ドラゴンの抽斗」。ツイッター@nittaryo
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