増える「異文化の客」 迷惑かビジネスチャンスか

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新規の客でどう儲けるか

   居酒屋側からみれば、そういう層は腹ただしいのはたしかだろうが、だからといって、酒のマナーを知らない(酒を普段飲まない層)をいくらディスったところで、お店の利益向上につながるだろうか?むしろ、積極的に利益につなげたほうが良いのではないだろうか。

   例えば、顧客が食事が目当てならば、持ち帰りを提供する方法もある。長居は避けられ、回転も良くなる。セットメニューにして、カウンターだけのファストフードコーナーを用意してもよい。食事のみのひとは1時間制などとしてもよいだろう。顧客を区別し、それぞれに沿ったサービスを提供すれば、新規顧客がやってくる分、売上は確実に伸びるはずだ。

   マナーとかの問題にするのではなく、この新規の客でどう儲けるかを論じるのが本当の論点であり、それを考えた人が儲けられるだろう。

   もちろん、儲けなくていいから、居酒屋文化の維持を第一におくのも、ひとつのポリシーだろうし、紹介制や予約制にして既存顧客以外はお断りにするのも選択肢だろう。上客だけで回る店は新規顧客を取る必要はない。

   選択はそれぞれだが、市場は常に変化する。他人(新規顧客)のせいにするのではなく、そのなかで、何を取って何を捨てるのかを考えるのが経営者の仕事だ。ただ受け身で、へんな客が来ると愚痴っているだけでは、経営者失格である。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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