「法律を知る」力
では、今回のような事例をなくすためには、アルバイト側としてどんな対策ができるのだろうか。
ポイントは3つある。「法律を知る」「泣き寝入りしない」、そして「社名を公表する」ことだ。
(1)法律を知る
アルバイトといえど、法律で守られる存在である。バイト先のブラック企業の不当な要求に応じないよう、自らの権利を守るための基本的知識は知っておくべきだ。
今回の事例で挙がった「給与未払い」「自爆営業の強要」「辞めさせない」などはいずれも違法である。それだけでも分かっていれば、「この店/店長はおかしい・・・」と気づくことが早めにできたかもしれない。
(2)泣き寝入りしない
今回の場合は、アルバイト本人が「これ以上被害者を増やしたくない」という気持ちで団交にまで踏み切ったため公になったが、このように周知となることは本当に氷山の一角の、そのまたカケラくらいでしかない。法律知識を持たず、社会と触れたことがあまりない人の多くは、ブラックな労働環境でも「そんなものなのかな・・・」と思い込んでしまい、対処さえできないこともあるだろう。
しかし、働いた分の賃金を得ることも、休暇をとることもすべて労働者の権利である。何も恐れることはない。
未払い金があるなら、タイムカードと給与明細をもって、店長なり運営会社に直接請求すればよい。それでも払う気がみられないようなら、会社宛に内容証明郵便を送り、同時に労基署に証拠をもって申告すればよいのだ。
働いた報酬はきっちり得てから辞めるのが筋であるが、労基署や弁護士に時間も手間もかけたくないということであれば、何も気にせずサッサと辞めてしまえばよいのだ。
これも法律に照らすならば「2週間前に辞意を伝えて」ということになるのだが、ブラック企業ならば「辞めさせないぞ!」と凄んでくるかもしれないので、何も言わずにバックれてしまえばよい。困るのは、あなたを大切にしなかった店長と運営会社のほうだ。