「息子3人を東大理IIIに」が話題 「実にもったいない」と思った理由

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   息子3人を東大理Ⅲに合格させたママの話が話題になっている。

   難関私立中学・高校である灘高に入学させて、理IIIに3人を合格させたとのこと。

   この話を聞いて、2つのことを思った。

   まず、この息子たちへのサポートの手厚さはすごいと思う。

   いわゆる前の世代の教育ママのように「勉強しなさい!」と監視するという押し付け教育ではなく、子供の勉強のサポートに徹している。

   『一緒にやる』『お手伝いする』という気持ちが大事だという。

「マルつけやコピーなど、親ができることは親がやる」
「問題集をコピーしてすぐ解けるように準備しておく」

など、子供が勉強以外のことに無駄な時間や努力をしないでも済むように、徹底的にバックアップするそうだ。

「18時~20時 『生物問題集〇○』P20~30」

といったペースメーカーをして、課題管理をしてあげたり、子どもが好きな料理を作り、応援の気持ちを伝えたりするなど、頭がさがる努力である。

   まさに選手のためのコーチであり、パトロンであり、ペースメーカーである。

良いコーチの存在が潜在能力を引き出す

兄弟3人が東大、東大、東大
兄弟3人が東大、東大、東大

   このように、目標達成にむけた手厚い支援や、勉強のプロセスを支援してあげるというのは、とても良いことだ。誰もがたった1人では目標は達成できない。支援者の存在が支えになり、良いコーチの存在が潜在能力を引き出す。

   これはスポーツなどの世界だけではなく、受験においても適用できることを示したのは大きい。

   さて、もうひとつ思ったことを書こう。

   なぜ、東大理IIIなのだろうか。この目標設定は、息子たちが行ったのだろうか。たしかに、目標達成までの支援を行うことは素晴らしいことだが、目標設定を親がセットしてしまうところまでやってしまうと、せっかくの支援が台無しにならないだろうか。

   東大理IIIというのは、医学部のことである。つまり、息子たちの将来は医者になるということで、すでにほぼ、決まってしまったのだ。

   しかも、息子3人、すべて医者。

   世の中にはもっといろいろな可能性があるというのに、息子全員が医者になるというのは、どう考えても可能性を一気に制限させているように思えてならない。

   しかも医者という職業は、いかにも保守的だ。現在の日本で長らく暮らしていくならば、たしかに医者は堅い選択肢だろうが、右肩下がりの日本の将来と一蓮托生でもある。しかも3人も。

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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