人手不足を感じている中小企業は半数を超え、中でも「一定のキャリアを積んだ」ミドル人材を求める声が強いことが、日本商工会議所の調査で分かった。
それでは、どんなキャリアやスキル(技能・能力)が期待されているのだろうか。高度な専門知識か管理能力か、それとも語学力か・・・
「一定のキャリアを積んだミドル人材」の回答が7割近く
「人手不足への対応に関する調査」結果(日本商工会議所、2015年8月27日発表)によると、人員について「不足している」と答えた企業は、50.2%と過半数を占めた。「過剰である」は3.5%にとどまった。
「不足している」と回答した企業に「求める人材」を聞いたところ(複数回答)、最多は「一定のキャリアを積んだミドル人材」で67.9%に達した。以下、高校新卒40.4%、大学新卒32.1%と続き、「管理職経験者等のシニア人材」は12.4%にとどまった。
また、業種ごとでも、建設業や介護・看護など、「その他」も含め10業種すべてで、「ミドル人材」との回答が最も多かった。調査(6月に訪問により実施)には、全国の中小企業約2600社が回答した。
このような、ミドル人材に求められている「一定のキャリア」については、100人を超える転職コンサルタントに聞いた、次のような調査結果が参考になりそうだ。
「最重視するのは人間性」が最多
エン・ジャパン(東京・新宿区)が運営する人材紹介会社集合サイトの「ミドルの転職」によると、ミドル人材(35歳以上、シニア<50代以上>層未満)の市場価値を判断する際に最重視する項目は、人間性(41%)が最多で、スキル(32%)、仕事の成果(27%)が続いた。
重視されるスキル(上位3つを回答)の上位には、「現在の職種に関する専門知識」(75%)、マネジメント能力(53%)、「在籍業界に関する専門知識」(52%)の3項目が並び、同率4位の語学力(22%)以下と差をつけた(8月4日発表)。同サイトでは、「環境に適応して経験を活かした即戦力として実力を発揮することが、市場価値の高さに繋がると言えそう」だと分析している。
「最重視されるのは『人間力』」との結果に対しては、ツイッターで、
「わかる。ミドルに求められるのは成功・失敗体験から醸成された『人間力』『俯瞰力』『フォロー力』・・・人間的な『深み』かもしれませんね」
と納得する声や、
「日本的だけど、これからグローバル社会でこのままじゃいかんです」
と懸念する意見も寄せられていた。(KE)