就職活動の際、内定先から「大学教授からの推薦状を出して下さい」と言われることもある。この推薦状、学生にとっては、結構なプレッシャーになるケースも、少なくないようだ。
今回は、ある大学院生のお悩み。教授に「推薦状」を書いてもらった内定先を辞退したところ、教授が激怒し、「留年させる」と言ってきた・・・さぁ、どうする!?
学生は「これはアカハラだ」
質問サイト、OKWaveには、「大学院の教授との関係のトラブルです」という質問が寄せらた(2015年9月9日)。悩んでいるのは、就活を終えた大学院生。自由応募の内々定を2社もらい、先に内定を得た会社から「教授推薦書」を要求されたので、提出した。しかし、学生はその会社を辞退し、後に内定をもらった別の会社に就職を決めたという。
結局、教授の推薦状は『ムダ』になってしまったわけだが、教授からは、「推薦を辞退したので、修士論文は通さない、留年させる」と言われているという。投稿者は、「これはアカハラだ」と考えているが、「アカハラセンターを通じて研究室変更などを模索するも、他の教授の目があり」断念。教授は、発言について「言い過ぎた」と謝ってくれたものの、「責任は取ってもらう」と、依然として「留年を示唆する発言」をしているという。そこで投稿者は、万が一、就職を目前にして留年させられた場合、どうすればいいか、ネットに助けを求めた。「裁判所へ、修了を許可してもらう仮処分を申し立てて、受理される可能性はあるでしょうか? これ以外に留年を阻止するアイデアがあればお教えください」。
確かに「アカデミック・ハラスメント」の指摘が出ても不思議ではない事態だが、ネットの声は、意外にも厳しい。ある回答者は、投稿者が、「教授が推薦状を出すというのがどういうことか、全然わかっていない」という。
「紹介状をもらうのとはわけが違うのですよ。教授には教授の築いてきた信頼関係があります。人を推薦するというのは、この人間を御社に、自分の名誉を担保に推薦します、という意味です。学者生命という意味で命がけのものなんです」
それなのに辞退したということは、「思いっきり教授の名誉信頼に泥を塗ったこと」。教授のみならず、「同窓の人間、後輩の全部の将来を傷つけた」行為にもあたる、と辛辣だ。
「弁護士同席」の功罪
「先に名誉を毀損したのはどっちですか?」と、これまた厳しい回答も。「ご質問者さんは、その教授から、推薦辞退についての名誉毀損の賠償請求が起こされた場合、対抗できますか?
弱者強者の話ではなく、砂のかけあいを最初に始めたのは誰でしょう?」。うーん、学生側が不利、なのだろうか。
ただ、中には『優しい』アドバイスも。「弁護士を連れて話し合いに一度行けば、穏便に解決できるんじゃないでしょうか」という回答者いわく、「大事なのは、(弁護士に)ただ傍にいてもらうだけ、という点です。(略)ストレートに恫喝するのではなくて、自然に『察して』もらうだけに留める」。それでも教授が大人げなく激高するようなら、「学長に相談するしかないでしょう」と、解決策を示した。
しかし、「弁護士を連れて穏便に、というご意見ありますが、弁護士を通した時点で穏便ではありません」との指摘もあり、意見はバラついた。すべてのアドバイスを聞いた上で、相談者の学生は、「私も、穏便に進めたいという気持ちは持っています」と言いつつ、まだまだ悩んでいるようだった。(KH)