佐野氏「東京五輪エンブレム」騒動にみる 企業広報セオリー上の失策とは

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社長による社内コミュニケーションと「内なる広報」

   A社は業界内では名の知れた古参企業で、有能な人材も多くこの問題を機に転職、引き抜きが相次ぎました。今でも存続こそしているものの、10人規模にまで規模縮小して廃業も検討していると噂され、業界での存在感はほとんどなくなってしまったようです。

   社長による社内コミュニケーションは、言ってみれば「内なる広報」なのです。すなわち社長は、社内の広報担当者であるべきなのです。従って、適切な情報開示がされず、また求められても「逃げ」や「怒り」の広報でその場を強引に突っぱねることは、自身や会社に対する社員からの信頼感を欠くことになり、その結果、何ひとつとして良い方向には導かないのです。

   「逃げ」対応は自らの立場を悪くし、「怒り」対応は不信感へと導く。オリンピック・エンブレムの当事者対応に見るあるべき広報のセオリーは、組織内の広報担当であるべき経営者にとってもまた真理であると言えるでしょう。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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