社長による社内コミュニケーションと「内なる広報」
A社は業界内では名の知れた古参企業で、有能な人材も多くこの問題を機に転職、引き抜きが相次ぎました。今でも存続こそしているものの、10人規模にまで規模縮小して廃業も検討していると噂され、業界での存在感はほとんどなくなってしまったようです。
社長による社内コミュニケーションは、言ってみれば「内なる広報」なのです。すなわち社長は、社内の広報担当者であるべきなのです。従って、適切な情報開示がされず、また求められても「逃げ」や「怒り」の広報でその場を強引に突っぱねることは、自身や会社に対する社員からの信頼感を欠くことになり、その結果、何ひとつとして良い方向には導かないのです。
「逃げ」対応は自らの立場を悪くし、「怒り」対応は不信感へと導く。オリンピック・エンブレムの当事者対応に見るあるべき広報のセオリーは、組織内の広報担当であるべき経営者にとってもまた真理であると言えるでしょう。(大関暁夫)