「今後は秘書を通さず、直接連絡を」 某社長がこう依頼して来たワケ

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   外食チェーン店経営I社のH社長から、ちょっと変わった内容の電話がありました。

「今後何か仕事の用がある時は、僕の携帯かアドレスに直接連絡を入れてくれますか」

   H社長は確か1年ほど前、チェーンの規模拡大や事業領域の拡大を機に秘書に自身のスケジュール管理を任せ、その以降は「ごくプライベートな夜の集まりや休日のお誘い以外は、悪いが秘書経由でスケジュール調整して欲しい」と言われていたのです。

外部の人とフリー・トークする機会が減った

私のケータイに直接・・・
私のケータイに直接・・・

   事業規模が縮小した話は聞いていませんし、秘書がいなくなったわけでもなさそうです。こんな電話を突然かけてきたH社長の本意がどこにあるのか、俄然、私は興味を持ち詳しく聞いてみたい衝動にかられました。

「どうもこのところ、事業が停滞している感が強くなりまして。決して後退はしていないと思うのだけれども、何か前に進ませる原動力に欠くような気がしましてね。そこで立ち止まって考えてみたら、社内では定型的な打ち合わせが増え、外部の方々とフリー・トークする機会も減ったように思いました。それがいつ頃からだろうかと考えたら、どうもここ1年ぐらいなのです。原因はすべて、僕自身のスケジュール管理にある気がしたのです」

   聞けば、秘書にスケジュール管理を任せてからは、定例会議、役員・部長からの会議資料説明、業界会合、取引先接待・・・、そういったものばかりで1日が埋め尽くされていく感が強くなったのだとか。言われてみれば私もここ1年は、H社長にお目にかかるのにいちいち秘書を通さないといけないなら、たいした用事でない時はやめておこうと足が遠のいていたのも事実です。

「事業規模が大きくなって、事務的に秘書にスケジュールの交通整理をしてもらう必要はあるのは確かなのです。ただそればかりに頼ってしまうと、社長である私のスケジュール管理が他人任せになり過ぎて事務的に時間を消費することが多くなり、自分のスケジュールだという実感が持てなくなったように思えたのです」
大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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