退職勧奨と退職強要の差に注意
さて、今回のケースについて検討してみましょう。
この上司は、部下に対して暴言を吐いたり、嫌がらせをしたりと典型的なパワハラ上司と言えそうですね。自分の上司にも不適切な態度で接したり、外注先の人にも暴言を吐いたりと横柄な態度を取っています。会社に損害を与えかねない人物といえますから、会社がこの上司に辞めてもらいたいと考えたとしても不思議ではないですね。
もっとも、この程度の上司の素行の悪さで解雇できるかというと大いに疑問があります。
上司の勤務態度は退職させるほど著しく悪いとは言えないですし、まだこの上司に指導や勧告がされていないからです。この上司に注意して改善の余地がある以上、現段階での解雇は無効となってしまうでしょう。
そうなると、退職勧奨をすることが考えられますね。クセのある方のようなのですぐに退職してくれるとは限りません。先ほど言いましたように退職の強要にならないように十分に注意してくださいね。
ポイント2点
●解雇は、労働契約法16条で客観的に合理的な理由(労働能力低下や勤務成績の不良、職務命令違反など)を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には無効。
●会社が退職勧奨をすることは基本的に自由にでき、退職勧奨に応じるかどうかはあくまで労働者の自由。何度も退職を促すと、それは退職勧奨とはいえず退職強要になる。