「女同士の争い」を鑑賞する風土
最後に重要なのが、「育休明けの女性を、若くて可愛らしい女性が批判する」という構図を、楽しんだ人もいたのではないか、ということです。「楽しんだ」というより、「消費した」という方が適切かもしれません。「こんなことを言う若い女性がいるのも分かる」とか、「いやいや自分はこう思う」「女子って大変だよね」など、様々な議論が巻き起こった中には、少なからず「女同士の対立」を鑑賞するまなざしがあったように思います。
時代はさかのぼりますが、1980年代、アグネス・チャンの「子連れ出勤」を、作家の林真理子さんが批判したことが発端となった「アグネス論争」がありました。あのときもそうでしたが、女性同士が、何かいがみあっている(ように見える)構図は、人々のゴシップ的な関心をそそるのです。特に、若い女性と年長世代の女性の「対立」は、メディアでおもしろおかしく取り上げられることが多いようです。今回の「プチ炎上」にも、そうした「女性同士の対立」が透けて見え、「時代は変わっていないなぁ」と感じました。
ただ、投稿した女性の名誉のために主張したいのは、彼女もまた、「女性同士の対立」に巻き込まれてしまった一員なのだ、ということです。投稿者が悪い、ネットが悪い、はたまた男社会が悪い、という単純な話ではないのです。この「あからさまなホンネ」現象、皆さんはどう考えるでしょうか。(北条かや)