営業管理ができていない社長 だから社員が育たない

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「月末追い込み型」営業の問題点

   一般的な営業マンは大抵、その獲得実績は月末近くに集中しがちなのです。もう少し細かく言うと、1か月を10日ごと月初、月中、月末の3クールに分けてみると、標準的営業マンは実績の半分~3分の2が21日以降の月末クールに集中しがちなのです。業種に関わらず、1か月ごとの営業実績管理を実施している企業では不思議なほどこの傾向が出るのです。

   社長は月々の実績管理に追われているわけではないので、毎日が種まきであり毎日がクロージングであるという満遍ない営業をしているのですが、毎月毎月実績管理に追い立てられる営業担当はどうしても追い込みの月末が終わると一息つきたくなり、月中あたりから徐々にエンジンがかかってまた月末近くになると一斉に早成案件の刈り取りに集中して数字をつくる、そんな悪循環に陥りがちなのです。言ってみれば「月末追い込み型」営業。営業をやったことのある人なら、誰でも思い当たることではないでしょうか。

   同時にこの裏返しとして、成績優秀営業マンは社長営業同様に大抵月初、月中、月末ほぼ均等に実績を上げているということが指摘できます。要するに、優秀営業マンと普通の営業マンとの営業実績の差は、月初、月中クールの「営業活動量」の差なのです。学生時代を思い出してみてください。成績優秀な子は普段から満遍なく勉強している子が多く、成績が振るわない子は試験前に『一夜漬け』勉強で臨んでいる子が多い、あれと同じです。

   H社のような「放任営業管理」下の営業担当は、一見1か月を通じて毎日同じぐらいの時間を外訪活動に充てているようでも、月初、月中は「営業活動量」にカウントされない雑談的『親交訪問』がけっこうな比率を占めている可能性を否定できないのです。日々営業担当の活動内容ヒアリング管理を徹底し月間の「営業活動量」増やして「月末追い込み型営業」を解消する。H社の営業改革はそこがポイントであるように思われました。

   私の説明に納得しつつも、しばらく考えて「僕も学生時代は『一夜漬け』派だったからなぁ」と漏らしたH社長。「営業部隊が育たない」原因は実は社長の管理にある、そこに気が付いてくれたのなら、あとは行動を起こしさえすれば結果はついてくると思うのですが・・・。それができない社長もまた多いのです。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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