営業管理ができていない社長 だから社員が育たない

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   営業強化のコツを取り上げた前々回のエントリーで、無駄の削減と管理の強化で「今の営業活動量は少なくとも5割増し以上にはなる」という話をしたところ、知り合いの中小商社H社の社長から「よほど営業活動をしていないケースはともかく、普通5割増しはあり得なくはないか」とのお問い合わせをいただきました。

   自ら営業管理をしているH社社長は、日頃から「営業部隊が育たない」ということが何よりお悩みとのこと。御自身が『トップ営業マン』という状況から一日も早く脱したいということから、期待感を持って私のエントリーを読んではみたもののどうも実効性に乏しいと感じられたようです。

「営業活動量」とは有効な面談時間のこと

営業部隊が・・・
営業部隊が・・・
「うちの会社で言うなら、営業担当は皆ほぼ毎日朝10時から夕方4時頃まで取引先を訪問している。昼休憩を差し引いても、営業活動を5割増ししようとするなら8時間近くになってしまう。いくら営業の雑務や資料づくりを事務方に任せ事務所内作業を圧縮したとしても、これでは基本拘束時間は8時間を越えてしまうわけで、これを前提として雇用するのはブラックと言われかねないと思うわけです」

   おっしゃることはごもっともです。しかし、私が問題にしたいのは外訪時間そのものでありません。言葉足らずで申し訳なかったのですが、私が定義するところの「営業活動量」とは有効な面談時間のこと。すなわち、移動時間や現状以上の懇親が必要のない親密先を訪問して仲の良い担当者と雑談を交わしているような外訪時間は、「営業活動量」には含まないのです。すなわち私が言いたいことは、外訪時間を増やしましょうということではなく、今の外訪時間の中で有効な面談時間の比率をもっと増やしましょうという話なのです。

   社長や管理者にお願いしたいことは、日々担当者の外訪の中身をちゃんと把握して中身の濃い営業活動ができているか否かをしっかりとチェックしてください、ということ。具体的には、ごまかしの効く書面による日報管理任せにしないで、短時間でも毎日、担当者との面談による訪問先との折衝内容のヒアリングをして欲しい、ということなのです。

「そこまでしないとダメですか。うちの営業担当たちは、確かに営業力は弱いのだけど、意図的にさぼってばかりいるような性悪なヤツはいないと思うんですよ。担当者を大人として扱う放任管理が私の基本方針であり、必要以上の管理強化は担当者を性悪説で疑ってかかっているみたいで気が進まないですね」

   社長は今までの「放任営業管理」を変えるのはどうも抵抗があるようでしたので、別の角度から質問をしてみることにしました。

   大関「トップ営業マンとしての社長にお聞きしますが、社長の営業実績は1か月の中で何日あたりに成約するものが多いですか。」

   社長「相手さん次第だからね、特にいつが多いとかあまり考えたことはない」

   大関「では社長、担当者の場合はどうです。成約日に偏りは感じないですか」

   社長「言われてみれば、月末近くが多いかと・・・」

   社長は何かに少し気が付いたようでした。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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