痴漢で捕まり示談 会社に報告する義務はありますか?

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弁護士解説 法的に報告義務はない

   痴漢の被疑者となった場合に、弁護士にすぐに依頼するのは賢明ですね。被害者との示談は事実上、弁護士でないとできないので、痴漢をしてしまった場合はすぐに弁護士に頼んだ方がよいです。

   さて、今回は痴漢の事実を会社に報告すべきなのかとのご相談ですが、結論として報告する必要はありません。会社の業務と関係ないことについては、プライベートの問題ということになります。そして、従業員には、プライベートのトラブルについてまで会社に報告すべき法的義務はありません。したがって、会社に対して痴漢で捕まったことを報告する必要はないということになります。

   とはいえ、被疑者となると会社を遅刻・欠勤しなければならず、業務に支障がでることは明らかでしょう。遅刻や欠勤について何も連絡もしないとなると、無断遅刻、無断欠勤となり、懲戒処分をされたり、最悪の場合解雇になったりするかもしれません。そうならないためにも、遅刻や欠勤等により業務に支障が出る場合は、会社に連絡を入れる必要がありますね。

   次に、痴漢の事実が会社に知られた場合、すぐに解雇になってしまうのでしょうか。

   多くの会社の就業規則では、従業員が犯罪を行ったことを懲戒事由として掲げています。これは、従業員が犯罪を行った場合、会社の信用や名誉を棄損する可能性があるからです。したがって、従業員が犯罪を行ってしまうと、会社から解雇等の処分がなされる可能性があります。

   もっとも、従業員が私生活で犯罪を行った場合に、直ちに処分が有効となるとは限りません。なぜならば、会社の従業員に対する干渉は、原則として従業員の私生活にまでは及ばないからです。したがって、私生活で犯罪を行ったとしても、その犯罪によって、会社の信用や名誉を棄損した場合に限って処分が許されると考えられています。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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