「恐れることなんてない」
映画の中で、ウーマン・リブの旗手たちは、「男性が憎い」という言葉を使いませんでした。とにかく「目の前の生きづらさを解消するため、一生懸命にやってきた」という印象。女として自由に生きたいという、切実な思いがあったことが分かります。
上映会の後、筆者は松井監督に対し、「今でも、女としての『生きづらさ』を感じて落ち込んでしまうことがあるんです」と、人生相談のような質問をしてしまったのですが、彼女は優しく、次のように答えてくれました。
「私も、それは同じですよ。男社会の中で、『これを言ったら嫌われるんじゃないか、不利になるんじゃないか』と、常に気にしながら生きてきた。でも、この映画のタイトルのように、『何を恐れる』の精神でやっていけば、きっと大丈夫。勇気を持って、あなたの信じる道を進んでいって下さいね」
キャリア女性としての大先輩である松井監督の言葉には、胸を打たれました。もしかしたら、現代の迷える女子たちは、女性運動の「過去」を知ることで「未来」を前向きに考えられるようになるかもしれない。そんな気持ちにもなりました。
「かやさん、またね」と言って、颯爽と会場を後にした松井監督。その後ろ姿を見送りつつ、これからも「何を恐れる」精神で頑張ろう、と思えたのです。「ドキュメンタリー映画 何を怖れる フェミニズムを生きた女たち」、迷える女子、そして男子にもお勧めです。(北条かや)