世界で人気のマーベルコミックスシリーズの映画『ファンタスティック・フォー』が、公開に先駆けある宣伝動画を公開し話題となっている。手がけたのは、米ニューヨーク拠点のバイラルマーケティングを専門とする広告会社 Thinkmodo。
2015年8月3日にYoutube上で公開されたその動画は、同コミックに登場する火を自在にからだにまとうことができるキャラクター「ヒューマントーチ」をモデルにして、炎に包まれて燃える人型のマネキンを空遊させるといった内容だ。
からくりは「ドローン」
動画の撮影場所に選ばれたのは、ニューヨーク郊外にあるとある消防学校。撮影は、約10人の消防士と2台の消防車を管理する責任者が立ち会う厳戒態勢の中で行われ、バスの上や倉庫の敷地内などを空遊する燃えるマネキンを見守った。
動画を見たところ、マネキンにはそれを吊るすためのワイヤーなどは見当たらない。飛ばす仕掛けにはなにかと話題の「ドローン」が使われた。日本も例外ではないが世界中でドローンの規制が議論される中、とても大胆な企画と言えるだろう。広告会社のThinkmodoは撮影の前、燃えていないこの人型ドローンで飛行実験を重ねたようだ。
同社の共同代表 Michael Krivicka氏は米国の広告業界誌 Adweekの取材で、人型ドローンの制作は花火師のアドバイスを受けて行われていたことを明かした。飛行物がどのようにして燃えるかという構造を熟知した花火師ならではの知見が活かされた。人型の物体をよく発火させるための指導も仰いだという。
公開から5日経った時点で、動画の視聴回数は24万8000回を突破。視聴者からは「馬鹿げているけどすごい!」「ヘタしたら映画より面白い取り組みかもしれない」と批判とも賞賛とも取れるさまざまなコメントが寄せられている。
ドローンには規制や危険性などネガティブな話題が多い。一方で、この企画のような物体、もしかしたら人をも飛ばせてしまうかもしれないという突拍子もないアイデアを形にできる可能性はぜひ評価したい。(文:井上美穂、編集:岡徳之)