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「知識」化する

   それともうひとつ重要なことは、営業スタイルも標準化して「知識」化することです。具体的には、優秀営業マンや経営者の経験を入念に検証して、成約に結び付く営業の行動パターンを自社の営業スタイルとして「知識」化するのです。営業スタイルは皆が同じように実績を生み出すための基準であり、「知識」の中で最も重要なものです。これを文書化し、他の定義化された一般「知識」と併せてまとめれば、営業マニュアルが完成します。

   「営業は個々のスタイルでやってこそのもの。営業マニュアルなんて、担当者の個性を殺すだけじゃないのかい」

   会員制サービス提供企業K社の営業改革のお手伝いをした際に、ナンバー2であったY副社長は、我々の提案にこう難癖をつけて反対しました。

   個々のスタイルで行動できるのは、一定の水準に達した者のみであり、まずは全員が決められたやり方に従って一定水準クリアを目指すことが優先です。言ってみれば、「守・破・離」の精神。まずは言いつけを守る「守」。それが難なくできるようになって初めて教えをアレンジする「破」、さらに進んで自己のスタイルを確立する「離」に至れるわけなのです。

   ちなみにK社の営業担当は臨時雇用が大半だったのですが、「営業マニュアル」を作ったことで新規就業者が「まず何をやればいいのか」が分かり、懸案だった離職率も圧倒的に下がったのでした。営業のマニュアル化は、定着率向上による採用コスト削減にも大いに役に立つのです。

   私のやり方が営業チーム改善に向けた唯一無二の方法ではありませんが、多くの企業で実績を残しています。営業でお悩みの経営者の皆さま、ぜひ参考にしてみてください。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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