「ダメな営業」を嘆く社長へ贈る 結果を出す「確率論と心理学」

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「古い、新しいは関係なく、むしろ効率的」

   H社長も含めてたいていの人はこんな話をすると、「俄かには信じがたい」という顔をするのですが、ほとんどの企業で一部の優秀営業マンを除いては十分な営業活動量が確保できていない、それが私が多くの企業で見てきた実態なのです。

   「まずは量、動けって言うのは、なんか古くないかい。僕はどうも効率的じゃないように感じるね」。別の機会に、同じように営業のお悩みを打ち明けた公共向け設備企画のN社長は、私の話にこうぶつけてきました。

   営業は確率論であり、また心理学であるのです。平たく言えば、売り込み先との接触機会を増やすことは、「出会いがしら」が生まれる回数も多くなると言う意味で確率論。相手との面談回数を増やすことは、「熟知性の法則」により相手サイドに親近感が湧き、接触機会の少ないライバルよりも圧倒的に優位に立てる、という意味で心理学なのです。「古い、新しいは関係なく、むしろ効率的です」と私は自信をもって申し上げました。

   次に営業法則もうひとつの柱「営業知識」です。営業はやみくもに訪問件数を増やせばいいわけではなく、やはり一定水準の「知識」がなければ、せっかくチャンスを作っても成約はスルリと指の隙間から抜け落ちてしまうでしょう。そうならないためには、営業マン全員の「知識」水準を一定以上に上げなくてはいけません。「知識」とは具体的に、自社商材、ライバル商材、ターゲット情報、市場環境、経済動向、一般常識・・・等々ですが、それぞれについて、どの水準まで何を身につけるのかの基準を明確化、定義化することが必要なのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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