本音と建前を使い分けられるかのテスト?
回答では、
「『企業に対する自分の不誠実さに申し訳ない気持ちが募るばかりです』→それだけ反省していれば十分です。『2社の人事のあいだで何らかの情報交換があり、私の嘘が露呈する可能性はあるでしょうか』→そんなに心配しなくてもいいですよ。企業にとっては大した問題ではありません」
「新卒者の『御社しか受けていません』を信じる面接官なんていませんよ。ではなぜ聞くのか。本音と建前を使い分けられるかテストしています。あなたの回答は合格です」
「嘘をついて申し訳ないと思う気持ちは分かりますが、社会は『建前と本音』です。これからもこのようなことはよくあることです」
など、「気にしなくていい」「その回答で正解」と相談者を励ますコメントが寄せられた。
就職面接では「嘘も方便」というのが一般的な考え方のようだが、相談者のように「面接では嘘をつけない」と深刻に考える人は少なくないようだ。
「日本の人事部」には、人材紹介会社のキャリアコンサルタントのコラム「『嘘も方便』とは考えられない、求職者の心情」が掲載されている。
転職活動中のNさんから、A社からすでに内定が出ているが、B社の面接の結果を待って転職先を決めたいと相談があった。Nさんはすでに退職しているということで、「家族が事故にあった、入院した」など、家族を理由にしてA社に返事を待ってもらうよう促した。こうしたケースではよく使われる手だそうだが、Nさんは「嘘はダメでしょう。嘘はつきたくありません」ときっぱり断ったという。
「これは嘘というよりは『方便』」「薄々は分かっていても、はっきり言われたくないことは誰にでもありますよね」と穏やかに説得しても、「嘘はいけません。絶対ダメなんです」の一点張りだったそうだ。
それから思いのほか長い時間を経て、B社から「仮内定」と言っていい結果が通知されたが、Nさんからはその数日後に「A社に決めました」と短いメールがあったという。
「Nさんが『嘘はつきたくない』という自分の信条にこだわらずに時間を稼いでいたら、どうなったのか......。それは誰にも分からない。私はNさんがB社への未練をきれいに断ち切って、A社で存分に活躍してくれることを願わずにはいられなかった」
と、コラムを締めくくっている。(MM)