手柄を独り占めしてはいけない
このように、「上司をトラブルに使う」といっても、トラブルが解消できる見込みがある場面で使うのと、上司が行こうが行くまいが明らかに先方の怒りが収まらない状態で使うのとでは、まったく効果が違います。トラブルを止められる場面において上司をうまく使うことで「花を持たせる」部下と、トラブルを止められそうにはないのに体面上連れて行って、結果「顔に泥を塗る」部下。上司から見た時に、どちらの部下に「上司の使い方の上手さ」を感じ、どちらを「優秀」と思うかは、一目瞭然ですね。優秀な人は、上司を使って「仕事を前に進める」という形を作ります。上司というカードをうまく使いながら、上司との共同作業によって仕事を前に進めていく。それを上司に体感させることによって、その人は「優秀」と思われるわけです。
自分が成し遂げた仕事であっても、手柄を独り占めしてはいけません。周りの人にその手柄を分けること。自分の分け前を、上司にも分けてあげることです。その度量の広さを持っていると、結果として高い評価を得ることができる。周りから見た時に「優秀」と思われる要素となります。
そういった意味では、仮に自分ひとりでトラブルを収められる状況であっても、上司を連れて行き、「上司のおかげで仕事がうまく進んだ」と形づけることが重要です。
手柄を分けられる場面をうまく利用して、自分の「優秀さ」をアピールすることも、時には必要と言えるでしょう。(高城幸司)