有給休暇(有休)の取得は働く人の権利――のはずだが、上司の圧力や職場の空気からなかなか取れないという悩みもよく見かける。大抵、「正当な権利なんだから行使しないと!」と、行使することに前向きのアドバイスが寄せられている。
ところが、「行使」の仕方によっては風向きが変わるようで、ある相談には批判や反発の声が集まってしまった。
「周りの人のことも考えて!」
Q&Aサイト「発言小町」に、「有休取ろうとしてクビになりかける」というトピックが立てられている(2015年7月1日)。
相談者は投稿の前月に入社から半年経ち、有休を取得できるようになったため、「夏の休みと合わせて14連休を取ろうとした」が、それで「クビになりかけました」という。
結局クビは回避して希望通りの連休を取得できたそうだが、「しかし、周りの目線が辛い」と、職場で冷たい視線にさらされているようだ。「こんなことは、普通なのでしょうか?」と、意見を求めている。
一般的に有休取得関連の悩み相談には、「気にしないで取得して大丈夫だよ!」という声が多いが、今回の回答欄には、
「世の中、なめてない?たった半年やそこらで まともな仕事もできてるか分からない者が権利だと主張して 2週間も連続で休むのは、非常識だと言われてもしかたがないんじゃないかなぁ」
「ゴールデンウィークや夏休み、年末年始などの前後は、他の方と休みが重ならないよう、何か月も前から調整をするのが普通です。申請する前に上司に相談もなしに出したなら、非常識と思われても仕方ないでしょうね」
「夏休みって周りの人と協力して、お互い調整し合って取りますよね?夏だって仕事はあるんだから。貴方の夏休みの形態がどのようなものか分かりませんが、貴方1人でそんなに休んでしまったら他の人は休みが取りにくくなってしまうのではないですか?もう少し周りの人の事も考えましょう。そりゃ周りの目線も厳しくなりますよ。 何て自分勝手な奴、と思われても仕方ないですね」
など、「そんな休暇の取り方ありえない!」という厳しい声が多数寄せられている。
国際条約では「連続2週間の休暇」を推奨
ちなみに国際労働機関(ILO)は「年次有給休暇に関する条約(第132号)」で、
「労働者は1年勤務につき3労働週(5日制なら15日、6日制なら18日)の年次有給休暇の権利をもつ。休暇は原則として継続したものでなければならないが、事情により分割を認めることもできる。ただし、その場合でも分割された一部は連続2労働週を下らないものとされる」
と定めている。国際的には「連続2週間の休暇」が推奨されているようだが、日本はこの条約を批准していない。
労働政策研究・研修機構が公表(2011年6月)した「年次有給休暇の取得に関する調査」では、09年度に「連続2週間程度の長期休暇を取得した」と回答した人はわずか2.2%だった。
この現状では、「14連休取得」が正当な権利として歓迎される日は遠そうだ。(MM)