弁護士解説 36協定の「時間の上限」とは
毎月100時間を超える労働は、肉体的にも精神的にも大変です。長時間労働は, メンタルヘルスの不調や、 さまざまな疾患の原因ともなることがあり、 労働安全衛生法66条の8などにより、 時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められるときは、医師による面接指導を義務づけています。
そもそも、労働基準法では、1日の労働時間は8時間まで、1週間では40時間までと定められています。それ以上働かせた場合は残業になります。残業をさせる場合は、いわゆる36協定を結んだうえ、労働基準監督署に届出をしなければなりません。このことは労働基準法の36条によって定められています。
36協定とは、労働者を法定労働時間(1日8時間1週40時間)を超えて(延長して)労働させる場合や、休日に(1週1回または4週を通じて4回を下回って)労働させる場合には、あらかじめ労働組合(労働組合がない場合には労働者の代表)と使用者で書面による協定を締結しておかなければならないというものです。
ただ、36協定を結べば何時間でも残業させていいわけではなく、1か月だと45時間までの残業時間しか認められていません。また、例外的に、1年のうち6か月を限度として、1か月60時間まで延長することができますが、これは臨時的に通常の業務量ではこなせないような事態が生じた場合にしか認められません。