「複数内定」からどの企業を選ぶ? 大学に相談できない学生が増えた理由

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学生を人と見る、正直に話す

   では、何を基準に選べばいいのでしょうか。

   取材を進めると、圧倒的に多かったのが「学生をノルマでなく人と見ていること」「正直に話すこと」「企業の雰囲気」の3点でした。

「同じ大手でも、内定学生をノルマの対象としか見ていない対応をしている企業があった。かなり嫌な思いをして今の社に。あのときの選択は間違えていなかった」
「2社から内定を貰った。1社は、はっきりと内定と言ってくれたが、もう1社は『8月3日の最終選考に来てほしい。そこではっきりさせる』としか言わない。どう考えても内定としか思えないので、『内定と思っていいか?』と聞くと、『来てほしい。それで察してほしい』としか言わない。いくらなんでもそんなごまかし方はひどい。あとで『内定を出した覚えはない』と言い逃れされそうな気もしたし、はっきり言ってくれる方を選んだ。規模や条件などを考えれば、口を濁した社の方が良かったけど、あのごまかし方はひどい」

   一番最後の例は、似たような話だと7月中の面接は面接ではなく面談といい張るという社も多数あります。

   面接などでは絶対NGの社風・雰囲気も、内定先選択ではバカにできません。と言っても、採用担当者だけを見て判断すると結構外れます。社によってはエース級の人材を持ってきているからです。

   それよりも支店や営業所、工場などを見学したり、内定後でもOB訪問を依頼して、話を聞いたりすると、判断材料になります。

   内定先選択は恋愛と同じ、最後は本人の気持ち次第。ただ、今年の就活はその気持ちひとつで泣き笑いする企業が分かれ、大量の補充選考が秋以降に出そうです。(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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