「複数内定」からどの企業を選ぶ? 大学に相談できない学生が増えた理由

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あるW内定の末路

   内定先が複数あれば、どこにしようか悩むのが人情というものです。

   私の知る限り、これまでで最も悲惨な例は、北海道拓殖銀行と山一證券のW内定。この2社の固有名詞を出した時点で30代半ばないし、40代以上の読者にはオチが読めるでしょう。

   私がライターになる前、どころか、高校生のころ(ちょうどバブル景気が終わったあたり)、ニュースを見ていると、北海道拓殖銀行の入行式の様子が流れてきました。私の地元、北海道では最大手、かつ、当時は都市銀行13行の一角。男性行員がインタビューで

「ここと山一證券と内定を貰い、どちらにしようか迷いましたが、ここにしました。北海道経済のために頑張ります」

確か、こんな話をしました。それから6年後、1998年に破たん、北洋銀行に営業譲渡してしまいます(破たんの発表は1997年)。

   では、もう一方の山一證券は、と言えば北海道拓殖銀行の破たん発表の翌週、自主廃業を発表。

   野澤正平社長(当時)の「みんな私らが悪いんであって、社員は悪くありません!」という号泣会見はどこぞの県議と違い、胸を打つものでした。

   この号泣会見を見ながら、私は、あのときの拓銀の新入行員はどっちに転んでもダメだった、と思いました。W内定でどっちに転んでも破たん(自主廃業)をしたあの新入行員も今頃は40代後半、どこでどうしているのか・・・。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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