女性の足を美しく見せる、ハイヒール。ところが、脚に負担をかけるハイヒールを無理に履いて、足を痛める女性は、少なくありません。この問題、先日、ネット上で公開された「ある動画」をきっかけに、盛り上がっているようです。
きっかけは、キュレーションサイト「TABI LABO」が紹介した動画、「男性が1日ハイヒールを履いて、生活してみたら・・・悶絶する結果に」。欧米人の男性が、ハイヒールの「履き心地」を理解するため、1日ハイヒールを履いて生活する様子をYouTubeにアップしたというものです。スニーカーの代わりに、ハイヒールで仕事をこなす彼ですが、途中から、あまりの痛みに、歩きながら「もう死にたい」「ハイヒールは中国にあった『てん足』の現代版だ」とさえ訴えます。それほどまでに、足の痛みは酷そうです。
痛い、ツラすぎる・・・
この動画とニュースは、ライブドアニュース(2015年7月11日)でも紹介され、話題になりました。映像に触発されたツイートのやりとりをまとめたtogetter、「男『女はなんでヒールなんかはくんだ?』女『他に選択肢がないんだよ!』」は、ツイッター上で議論を巻き起こし、10日間が過ぎた時点で、7900件以上も共有されました。それだけ「ハイヒールがツラすぎる問題」は、共感されやすいのでしょう。
ツイッターを見ると、女性たちが、「ふつうに就職する=毎日ヒールとストッキングで生活するってことだったもんな・・・耐えられるわけがなかった」とか、「妊娠してヒールはいてると『転んだら危ないよ』と注意されますよね。 妊娠してなかったら転んでもいいのでしょうか?」、「これは本当に全男性に体験してほしい。マジで無理だから」など、様々な思いをつぶやいています。
ある程度のハイヒールを履くことは、女性の「オフィスマナー」とされています。ところが、これが痛い。私も会社員時代、自分の脚に合うハイヒールを求めて、様々な靴を試しましたが、どんなに「歩きやすい」と謳ったパンプスでも、長距離を歩くと、つま先がズキズキしてきます。あまりに痛いので、通勤には3センチのパンプス、会社は7センチヒールと、2足を持ち歩く生活をしていました。この問題について、同僚と深く話す機会は得られないまま、私は退職してしまったのですが・・・今、ここまでネットで話題になっているのを見ると、働く女性たちは、「ハイヒールへの怒り」だけで、どこかしら共感できるのではないか、とすら思います。
キーワードは「ハンサム女子」
未だにオフィスでは「マナー」とされているハイヒールですが、最近は少し、流れが変わりつつあるようです。女性誌を見ると、ここ数年の流行キーワードは「ハンサム女子」。ジャケットやシャツ、ローヒールなど、ちょっと男性らしいシルエットや着こなしが、女性たちの支持を集めているのです。
靴も、やたらと高いヒールではなく、「ぺたんこ靴」が流行しています。先が細く尖っているデザインは変わらないものの、「脚が綺麗に見えるぺたんこ靴」を、各メーカーがこぞって売り出している。ハイヒールには、女性にとって「履くと気分がシャキッとする」といった前向きな面もありますが、「男性社会の『美』の押し付け」という負の側面もあります。そんな中、「シルエットは綺麗で気分が上がるけど、足が痛くならない『ぺたんこ靴』」が流行しているのを見ると、「キレイは諦めたくないけど、ラクに過ごしたい!」という、女性たちの思いが叶ったような気がして、ちょっと嬉しいのでした。さて、今日の取材も、ぺたんこ靴で出かけるとしましょうか・・・。(北条かや)