プノンペンに昨(2014)年6月にできたイオンモール。
このイオンモール1階のフードコートで、日本人だけが一瞬、目を奪われる看板がこの「当店のたこ焼きはイカを使用しています」(写真1)
タコ焼き?イカ焼き?
この4個で1ドルの「たこ焼き」、ネタとして大変面白いのですが、なぜわざわざイカ?という疑問も沸いてきます。
どうやらカンボジアではあまりタコを食べる習慣がないようです。
サムライカレーの現地スタッフに「オクトパスを食べたことある?」と聞いてみたところ、大変イヤそうな顔をしていました(それはまるで、我々が「タガメを食べたことある?」と聞かれたときのように)。
「なんで?」と聞いてみると「なんか気持ち悪い」との回答。しかし、イカを食べる習慣は普通にあるんです。
コンビニには普通にスルメとかが売っていますし、路上の屋台ではイカの干物をその場であぶったものを売ってくれます。
イオンモール1階のフードコートでは、おそらく低価格で「たこ焼き」を出すために市場に普通に流通しているイカを使って「たこ焼き」を作っているんでしょう。
一方、同じイオンモールの3階にある、日本でもおなじみ「銀だこ」のたこ焼きはしっかりと大粒の「タコ」が入っています。お値段4つで2.5ドルです。
ところで、このイオンモールを何度も見た私の主観的な感覚では、総合的な客数で1番入っている飲食店は、回転しゃぶしゃぶ屋です。
この回転しゃぶしゃぶ屋、回転寿司の要領で肉や野菜がベルトコンベアを流れてきて、手元の鍋でしゃぶしゃぶして食べます。おまけに寿司も食べ放題。これが夕食時など行列ができるくらいの盛況っぷり。
お値段、9.8ドルで食べ放題と、カンボジア的にはちょっと高めの設定なのですが、地元カンボジアの人たちがわんさか訪れます。
前提条件をひっくり返してみる
多くの日本人がここを見ると興味をもち、食べたいというので、私は「絶対後悔するよ」という言葉と共に、彼らを送り出します。そして、彼らは30分後に後悔して帰ってきます。
ここの肉は硬く、しゃぶしゃぶ感がぜんぜんありません(アゴの運動にはなります)。
寿司を食べてみると、酢飯ではなく普通のご飯の上にネタが乗っています(それはおにぎりではないのか?)。
ちなみに、同じフロアに、きちんとした酢飯を使った、日本人経営の回転寿司屋もあります。それでも、1番客が入っているのがこの回転しゃぶしゃぶ屋なのです。
あらゆる客商売で言えることですが、大切なことはお客様に喜ばれることをすることです。そして、自分たちがいいと思っていること=お客様がいいと思うとは限らないのです。
たこ焼きだからタコを使うべきなのか?お客様に安く提供するためにイカで代用すべきなのか?
しゃぶしゃぶなのだから薄くて柔らかい食感にすべきなのか?お客さんがいつも食べているような硬い肉にすべきなのか?
寿司はおにぎりじゃねえんだ!と言って酢飯にすべきなのか?酢飯になじみがないお客様のためにおにぎりにすべきなのか?
これらの問に、模範解答はありません。
ただ、必ずしも常識にとらわれることはなく、日本では常識となっている前提条件をひっくり返してみるというのは、外国人を相手にビジネスをするのに非常に大切なことです。
もっと言うと、それは実は日本人相手に商売をするときにも大切なことであり、商売が行き詰まったときに「たこ焼きの中はイカではいけないのか?」と改めて考え直せるような癖を付けておくのは大切だと思うわけです。
こんなカンボジアの風景の写真を集めたインスタグラムはじめました。
「森山たつを」 や「 サムライカレー」で検索してみてください。(森山たつを)