保育士F子が「怒りすら覚える」 子供の朝食「カレーパン半分」の実情

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   昨今、「保育士不足」が叫ばれています。子供の命を預かる、責任の重い仕事であるにもかかわらず、待遇が見合わないことなどがその理由とされていますが、今回は、実際の保育士さんに聞いた「母親とのコミュニケーション」について、書いてみたいと思います。

   F子さんは、25歳の保育士。とある地方の保育園で働いています。日々、忙しいワーキングマザーたちと向き合っているわけですが、その中で「これはどうすればいいの?」と、悩み、時に怒りを覚えることすらある、というのです。

「朝食はカレーパン半分」

朝ごはん、何食べた?
朝ごはん、何食べた?

   F子さんいわく、保育士と保護者をつなぐ「連絡帳」には、園児たちがどのような朝食を食べてきたか、などを記入する欄があるそう。気になるのは、その内容です。

   「『朝ご飯』のところに、『カレーパン半分』とか『お菓子』とか、書いてあるんです。それも堂々と。そういうお母さんが本当に多いんですよ。ありえないですよね? 育ち盛りの子供にカレーパン半分って・・・栄養バランスを考えてないお母さんが、今、本当に多いんです」(F子さん)

   F子さんは、保育士として働き始めて数年経ち、職業意識もかなり高い方。彼女なりの、「あるべき母親像」から、あまりにもかけ離れた「食事の様子」に、怒りすら覚えてしまうそうです。

   「もちろん、働いているから、忙しいのは分かりますよ。でも、ちょっとはお子さんの食事も考えて欲しいんです。手をかけなさすぎて、子供がかわいそう。過保護もどうかと思いますけど、全く逆のお母さんもいて、そっちの方が個人的には心配です。食事の偏りを、さりげなく『連絡帳』で指摘しても、直らないんですよ。『偏食』を悪いと思っていないお母さんが多いんです。特に若い層に多いですね」(F子さん)

ワーキングマザーの朝は「忙しすぎる」から仕方ない?

   F子さんの勤める保育園は、ここ数年で人口が増えたベッドタウンにあります。最近、移り住んできた核家族が目立つためか、祖父母が育児をサポートしてくれるご家庭が少ないのかもしれません。食事が少々、「雑」(F子さん)になってしまうのは、忙しさゆえに仕方のないこと・・・そう思いつつも、朝ご飯が「菓子パン半分」というお子さんを見ると、F子さんはいたたまれない気持ちになるとか。

   「もう、本当に最近の若いお母さんは・・・」と、25歳のF子さんがボヤくのを見ると、複雑な気持ちがします。若くて独身の彼女は、まだ、ワーキングマザーがどんなに大変か、身を持って体験したことはないのでしょう。もちろん筆者も本当のところは分かりませんが、取材をすると、働く母親の「朝」がどんなにか大変かが分かります。自分の身支度に加え、寝ぼけている子供を起こして着替えをさせ、朝ご飯の用意、お弁当の用意、保育園の送迎・・・これを、毎朝「分刻み」でこなしているお母さん(お父さん)たち。その苦労を思えば「カレーパン半分」の日があっても、いいじゃないか、とも思います。

   もしかしたら、「カレーパン半分」の背景には、「毎日忙しすぎる! 夫が家事育児を手伝ってくれない!」とか、「食事の用意が苦手・・・どうすればいいの?」など、迷える母親のメッセージが隠されているかもしれません。極端な例ですが、ご家庭全体の食生活が乱れ、お子さんのネグレクトに繋がっているケースも考えられます。

   「朝ご飯が、カレーパンだけなんてありえない!」とボヤくF子さんも、「連絡帳は大事なコミュニケーションツール」だということは、理解しているようですが・・・ワーキングマザーやワーキングファザーの皆さん、家庭での「朝ご飯」はどうしていますか?(北条かや)

北条かや(ほうじょう・かや)

1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆。TOKYO MX「モーニングCROSS」、NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」(2015年1月放送)などへ出演。
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