盛り上がっても、それは形だけという怖さ
企業側も心得たものです。学生が表面的なことしか話せないとわかれば、以降、深掘りする質問はしなくなります。
面接担当者が複数いる面接だと、深掘り質問をしなかった面接担当者が以降、主導権を握ります。大学からサークル、アルバイト、趣味などに移していき、学生が話しやすいテーマを探ります。
そこで学生の話しやすいテーマになれば、学生の好きなように話をさせます。これは面接担当者が1人でも同じ。
学生からすれば、
「面接の最初の方はダメだったけど、途中から話したいことが話せてよかった」
との評価に。それでいて面接結果は不合格。
学生からすれば、手ごたえを感じていたのに、なぜ落ちるのか不思議です。
とは言え、学生は面接序盤のグタグタさより、中盤以降の話しやすさが印象に残っています。落とされた企業に対してそこまでネガティブな印象は持ちません。
この印象操作こそが、採用担当者の狙いです。
「学生個人の話を聞きたいのに、学部がどうした、とか、コミュニケーション能力がどうした、とか、抽象的な話をする学生が多すぎます。いや、百歩譲って、話の取っ掛かりが抽象的なものでもいいです。ただ、そこから個人談をちゃんと話してほしい。ただ、そこで『具体的には?』と聞くと、ひねりがない。だったら、意地悪かもしれませんが、学生の否定から入ります。これで、あ、抽象的な話がまずい、と分かるかどうか。ダメならあきらめて、学生の話しやすいように話をさせます。その方が悪い印象は持たれないですし」
この話を学生にしたところ、
「面接にそんな怖い意図があるなんて」
と絶句していました。まあ、怖いですねえ。でも、それだけ企業だって懸命なんです。