就活生が絶句 「面接にそんな怖い意図があるなんて」

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盛り上がっても、それは形だけという怖さ

   企業側も心得たものです。学生が表面的なことしか話せないとわかれば、以降、深掘りする質問はしなくなります。

   面接担当者が複数いる面接だと、深掘り質問をしなかった面接担当者が以降、主導権を握ります。大学からサークル、アルバイト、趣味などに移していき、学生が話しやすいテーマを探ります。

   そこで学生の話しやすいテーマになれば、学生の好きなように話をさせます。これは面接担当者が1人でも同じ。

   学生からすれば、

「面接の最初の方はダメだったけど、途中から話したいことが話せてよかった」

との評価に。それでいて面接結果は不合格。

   学生からすれば、手ごたえを感じていたのに、なぜ落ちるのか不思議です。

   とは言え、学生は面接序盤のグタグタさより、中盤以降の話しやすさが印象に残っています。落とされた企業に対してそこまでネガティブな印象は持ちません。

   この印象操作こそが、採用担当者の狙いです。

「学生個人の話を聞きたいのに、学部がどうした、とか、コミュニケーション能力がどうした、とか、抽象的な話をする学生が多すぎます。いや、百歩譲って、話の取っ掛かりが抽象的なものでもいいです。ただ、そこから個人談をちゃんと話してほしい。ただ、そこで『具体的には?』と聞くと、ひねりがない。だったら、意地悪かもしれませんが、学生の否定から入ります。これで、あ、抽象的な話がまずい、と分かるかどうか。ダメならあきらめて、学生の話しやすいように話をさせます。その方が悪い印象は持たれないですし」

この話を学生にしたところ、

「面接にそんな怖い意図があるなんて」

と絶句していました。まあ、怖いですねえ。でも、それだけ企業だって懸命なんです。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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