中国の「空母が見えるマンション」で考えた バブルと「崩壊時の備え」

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   2015年7月、中国の株式市場の暴落が起きました。

   ここ数か月、無茶な勢いで上がってきた株価が天井を付け、一気に下がりました。持ち直す動きも出ましたが、先行きは不透明です(7月10日現在の情報です)。

   この上昇期間は、猫も杓子も株式投資をという状況だったらしく、JFKの父親のジョセフ・ケネディーの逸話「靴磨きの少年が株の話をし始めたのを聞いて、暴落が来ることを悟った」を地でいった状態であり、来るべきして来た暴落だったなと感じました。

空母ミンスクの周りに高級マンションが建ち並ぶ

空母と建築中のマンション。シュールな構図です
空母と建築中のマンション。シュールな構図です

   この株価の暴落が不動産市場の暴落に飛び火すると、リーマンショック級の経済危機に発展する恐れもあります。

   中国の不動産市場は、もうここ何年もバブルだと言われ続けており、すでに下落が始まっています。多くの不動産が将来の値上がりを見越して、借金をして買われているので、巨額の不良債権の発生、銀行の破綻が懸念されます。

   私は、去(2014)年の冬、中国の深センに行ってきました。

   主な用事は、中国銀行に預けていた人民元預金の引き上げや、ガラガラで待ち時間がなくアトラクションを楽しめる香港ディズニーランド訪問だったのですが、もうひとつ行ったところが「空母ミンスク」です。

   この「空母ミンスク」は元々ソ連の空母だったのですが、退役後、鉄スクラップとして韓国企業に売られた後、中国企業に買い取られ「ミンスクワールド」というテーマパークとして一般公開されているのです。

   その「ミンスクワールド」に実際に行ってみたところ、空母のブリッジ(操舵室)まで入れて滅茶苦茶面白かったのですが、お客さんは15人くらいしかおらず、中の展示物やアトラクションはボロボロになっており、非常に厳しい経営状況のようでした。

   そして、興味深かったのが、この空母ミンスクの周りに高級マンションが建ち並び、そのうちいくつかは今も建築中であるということでした。

   ついでなのでモデルルームも見てみたのですが、キャッチコピーが「窓から空母が見えるマンション」。あまり魅力的ではありません。

とばっちりを最小限にするために

   この「ミンスクワールド」は、深セン駅からバスで30分以上離れたところにあります。さらにバス停から公園の中を15分くらい歩く必要があります。なかなか通勤、通学には不便なところです。バス停とミンスクワールドの間にちいさなショッピングモールがあり、スーパーやレストランなどはあるので、生活には困らなそうですが。

   こんなところ住む人はいるのか・・・と思っていたのですが、夜になってもあまり電気がついておらず、住人の数は少なそうです。ただ、モデルルームでみた売約表をみると、半分くらいは売れていたようなので、投資目的で買っている人がそれなりにいるのでしょう。

   日本の1980年代のように「土地神話」が信じられている中国では、この様にどう考えても駄目そうな不動産でも売れてしまい、それを担保に銀行がお金を貸し、借りた金でさらに・・・という連鎖が続いていきます。

   日本の土地神話の残骸は、新潟県越後湯沢あたりにある20万円くらいで売られているリゾートマンションのように、いまだに日本にも残っています。

   中国経済がこれからどうなるかは分かりませんが、日本人が海外で「爆買い」していた時代が90年代にあったように、歴史は繰り返されるでしょう。バブルが崩壊しようと「それでも地球は回る」のですが、そのとばっちりを最小限にするために個人でできることはなにか、考えて行動することは大切です。

   「爆買い」の恩恵を被りながら、やばくなったらさっと手を引く。そんなしたたかさが必要な時期になってきたのです。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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