ネイリストはなぜ辞めていったのか お客がクレーマー?腰が痛くなる?いえ、実は・・・

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   「残業中、パソコンのキーボードを打っている時にネイルが綺麗だと、疲れていても、ちょっと癒される」という女性の声を、たまに耳にします。

   美しい色使いやデザインのネイルを見れば、辛い仕事も乗りきれる・・・そんな女性たちを支えるのが、「ネイルアーティスト」や「ネイリスト」と呼ばれる、これまた女性が中心の職業。彼女たちにも、また別の『気苦労』があるようで・・・。

月収は「頑張って手取り15万くらい」

癒されるかも
癒されるかも

   先日、地元の同級生、A美が「ネイルアーティストとして、独立を目指している」というので、久しぶりに連絡をとってみました。もともと、爪のおしゃれが大好きだった彼女。大学卒業後は、一般職のOLをしていたそうですが、ネイルアート好きが高じて、プロを目指すために一念発起。通信講座を受講し、日本ネイリスト検定試験センターの認定試験を受け、「2級」に合格しました。

「今はOLを辞めて、ネイルサロンで働いてるよ。このままいけば、独立もできそうだし、仕事は楽しいよ。会社員の頃より断然『やりがい』はある。お客さんと一緒にデザインを考えて、完成したネイルを見たその顔が、パーッと明るくなるのを見るのが嬉しい」

   ただ、「ほとんどのネイリストが、最初はアルバイトか契約社員」で、正社員になったとしても、「頑張って手取り15万くらい」だそう。A美の場合は、「最初はバイトだったから『時給890円』だった。よく続けられたなと思う」。

   多くのアルバイト店員は、ハードワークに耐えかね、すぐに辞めていきます。もしかしたら、ずっと座っているので腰が痛くなる、とか?

「ううん。体力的には全然、辛くないはず。うちのサロンは椅子も良いし、時々休憩もあるしね」(A美)

   では、お客さんの中に、「思っていたデザインと違う」「早く終わらせて!」などと言ってくる『クレーマー』がいて、その対応が辛いのでは?

「いや、それはない。ネイルサロンはほとんどの場合、『1週間以内にデザインが崩れたら、無料でお直し』とか、そういう保証がついてるからね。デザインも、事前にお客さんと相談して決めるから、そこまでクレーマーになる人はいないよ」

   なるほど。美しいネイルを愛する女性に、クレーマーは少ないのか・・・などと、妙に納得していたところ、A美が、ネイルアーティストならではの苦労を語ってくれました。

同じ相手と、30センチの距離で「3時間向き合う」職業

   A美は言います。

「多分、作業そのものより、お客さんとのコミュニケーションができない子が多いんだと思う。ネイルアーティストは、美容院みたいに立ち仕事ではないし、『体力的にきつい』ってわけでは、ないんだよね。」

   一般的な美容院では、新人がシャンプーやドライヤーを担当するなど、「分業体制」ができています。それに対して、ネイルサロンは「全く『分業』じゃない」というのが、A美の主張。

「オフ(お客さんがジェルネイルをしていた場合、機械などを使ってそれを剥がし、溶かして、元の爪の状態に戻す作業)からデザインの相談、ベースから完成まで、フルで、ネイリスト1人で担当するわけだから・・・。全部で、3時間は余裕でかかる。その間、お客さんと30センチの距離で、ずーっと向き合ってるんだよね。多分、それがキツくて辞める子が、結構いると思う。何を話せばいいか分からないとか、コミュニケーションが辛いんだろうね」(A美)

   彼女はもともと「人好き」で、ネイルの腕前もかなり上級なので、固定客もつき、楽しくおしゃべりしながら仕事をしているそうです。が、新人にとっては、3時間も近距離で、お客さんと向き合うのは辛いかもしれません。「1年後の独立開業を目指している」という、彼女。なんだか、こちらも前向きなエネルギーをもらったようでした。ネイルサロン、私も行ってみようかな・・・。(北条かや)

北条かや(ほうじょう・かや)

1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆。TOKYO MX「モーニングCROSS」、NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」(2015年1月放送)などへ出演。
【Twitter】@kaya_hojo
【ブログ】コスプレで女やってますけど
【Facebookページ】北条かや
姉妹サイト