同じ相手と、30センチの距離で「3時間向き合う」職業
A美は言います。
「多分、作業そのものより、お客さんとのコミュニケーションができない子が多いんだと思う。ネイルアーティストは、美容院みたいに立ち仕事ではないし、『体力的にきつい』ってわけでは、ないんだよね。」
一般的な美容院では、新人がシャンプーやドライヤーを担当するなど、「分業体制」ができています。それに対して、ネイルサロンは「全く『分業』じゃない」というのが、A美の主張。
「オフ(お客さんがジェルネイルをしていた場合、機械などを使ってそれを剥がし、溶かして、元の爪の状態に戻す作業)からデザインの相談、ベースから完成まで、フルで、ネイリスト1人で担当するわけだから・・・。全部で、3時間は余裕でかかる。その間、お客さんと30センチの距離で、ずーっと向き合ってるんだよね。多分、それがキツくて辞める子が、結構いると思う。何を話せばいいか分からないとか、コミュニケーションが辛いんだろうね」(A美)
彼女はもともと「人好き」で、ネイルの腕前もかなり上級なので、固定客もつき、楽しくおしゃべりしながら仕事をしているそうです。が、新人にとっては、3時間も近距離で、お客さんと向き合うのは辛いかもしれません。「1年後の独立開業を目指している」という、彼女。なんだか、こちらも前向きなエネルギーをもらったようでした。ネイルサロン、私も行ってみようかな・・・。(北条かや)