「仕事を任せる」の功罪 部下のレベルを見ないと逆効果

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   ある会社で中途入社の社員の離職率が高いので、離職率を下げるにはどうしたらいいかということを社員と一緒に考えることになりました。とても難しいテーマですよね。対策が分かっていたら辞めてないと思います。

   この会社は商業施設の設計に携わるので、企画、製作、設計というように各部門ではプロフェッショナルとして高いレベルの仕事が要求されます。しかし仕事は分業されているということではなく、企画部門で入社したとしても製作や設計の知識もある程度求められるので、やることが多く大変だそうです。

「辞めないようにするにはどうしたらいいか?」

レベルを見ながら・・・
レベルを見ながら・・・

   中途で入社した社員は即戦力としてすぐに仕事を任されますが、なかなか手とり足とり教えることができないので、戸惑う人は多いらしいです。

   1年未満で辞める人が多い一方で3年、5年と続いている社員がいます。

   その違いは何かということを確認してみると、自分で考えて仕事を進められたり、やることを見つけたりすることができる人は続いていて、それができない人は辞めていくということが分かりました。つまり自律している人材にとってはやりやすい環境だけれど、受身の人材にとっては厳しい環境だと言い換えられるということです。

   比較的長く働いている人が、数人に「何で会社を辞めずにこれたのか?」という質問をすると

「大変だけど、いろいろ経験することができるので、自分が成長できるから」

という答えが返ってきました。続いている人は能力が高い人が多いので、「自分達はプロの集団である」という意識も強いようです。

   能力の高い人であればいいですが、なかなかそうはいきません。そういう人は少数であり、多くは普通の人なのです。普通の人が成長して会社を辞めずに働いてくれないと、出たり入ったりの繰り返しでいつまでたっても少人数で忙しい状況が続いてしまい、社員が疲弊してしまいます。

   そこで、「辞めないようにするにはどうしたらいいか?」ということを再度考えていきました。いろいろ出てきましたが、根本的に必要なのは「やる気を出させること」ということになりました。

野崎大輔(のざき・だいすけ)

大学卒業後に無職、離職を繰り返し社労士として独立し、企業の労使トラブルの解決に奔走する。2013 年7 月に自律型人材育成専門コンサルティングを行うデストロイ・ジャパン株式会社の創業メンバーに加わり、専務取締役に就任。社員が自発的に行動する組織作りに注力している。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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