誰も注意しない「残酷な就活のテーゼ」 その「マナー」では落とされる

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「やらかしマナー」の学生への本音

   ここまでご紹介してきた「やらかしマナー」、実は全部該当していた学生が合同説明会にいました。

   カバンは斜め掛けのビジネスバッグと、大きなスポーツバッグ。頭はボサボサで、ひげは何日剃っていないのか、というほどの無精ひげ。鼻毛も出ている、というレベルでなくもっさり伸びきって、何十日、放置しているのか、というレベル。

   ワイシャツの下は、赤のTシャツで放送禁止用語がプリントされているのが透けて見えました。

   しかも、ネクタイは完全に結べていません。

   本人は普通のつもりなのでしょうけど、異様な雰囲気を醸し出しており、他の学生も振り返るほどでした。

   私は彼に声を掛けたわけではありません。しかし、こっそり、観察していると、ある企業ブースでは、20分近く質問したか、と思えば、別の企業ブースでは、

「僕、こんな業界で働く気ないですけど、とりあえず話を聞きに来ました」

と言って、相手をイラつかせるなどしていました。

   私が残酷だな、と思ったのは、このやらかしマナーの学生に対して、どの採用担当者も注意しなかったことです。

   あとで、こっそり、彼が訪問した企業ブースに取材すると、

「明らかにうちでは落とす学生です。落とす以上は、彼は採用対象の学生ではなく、ユーザーと同じ扱い。あれこれ言う必要はないでしょう」(機械)
「注意して、聞き入れるタイプではないですよね。なら、あれこれ話をして恨まれるよりも、何も言わない方がいいでしょ?」(ホテル)

   この学生ほどひどくないにしても、注意はされない。これが、就活の残酷なところです。さて、あなたは大丈夫ですか?(石渡嶺司)

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
1975年生まれ。東洋大学社会学部卒業。2003年からライター・大学ジャーナリストとして活動、現在に至る。大学のオープンキャンパスには「高校の進路の関係者」、就職・採用関連では「報道関係者」と言い張り出没、小ネタを拾うのが趣味兼仕事。主な著書に『就活のバカヤロー』『就活のコノヤロー』(光文社)、『300円就活 面接編』(角川書店)など多数。
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