ワーキングマザーが「モヤっ」とする時 これが本当の「小1の壁」

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保育時間の問題だけではない

   Kさんが違和感を覚えるのが、同僚や上司の発言。「お子さんも小学生かぁ。大きくなって、随分ラクになったでしょう」・・・いえいえ、違うのです。Kさんいわく、子供が小学生になったからといって「ラク」になったなんてことは、「一切ない」。

「まず、揃えるものが多いんですよ。上履きに上履き袋、体育館シューズ、道具箱の中身も保育園の時より複雑になるし、体操着に体操帽子、体操袋、レッスンバッグに筆箱・・・ほぼ全部に名札がいる。よく、忘れ物もしますよ」(Kさん)

   確かに、勉強にまつわる道具や、宿題も増えてくるでしょうし、苦労は多そうです。そんな彼女の発言を裏付けるように、昨(2014)年、取材をさせて頂いた「保育園を考える親の会」代表の普光院(ふこういん)亜紀さんは、こう言っていました。

「『小1の壁』は、保育時間の問題だけではないんです。保育園では自由に遊んでいられたのが、小学生になると、宿題や明日の準備など、課題が急に増える。子供には、自分で自分を律する力が求められるようになり、環境も変わって、それがストレスになる。これが本当の『小1の壁』なんですよ」(普光院さん)

   なるほど、保育時間の問題だけでなく、幼い心に「自立するための負担」がのしかかるのが、小1の壁の本質なのですね。Kさんが、同僚から、「お子さんが小学生になって『ラク』になったでしょう」と言われて、モヤッとするのも分かります。

   次回は、こうした「小1の壁」の打開策となる「学童保育クラブ」について、政府の取組みを見ていきます。とりあえず、筆者が政府の資料を見ての率直な感想は、「全然足りてないじゃん!」でした・・・。(北条かや)

北条かや(ほうじょう・かや)

1986年、金沢生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。著書に『本当は結婚したくないのだ症候群』『整形した女は幸せになっているのか』『キャバ嬢の社会学』。ウェブ媒体等にコラム、ニュース記事を多数、執筆。TOKYO MX「モーニングCROSS」、NHK「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」(2015年1月放送)などへ出演。
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