「そんなこと1ミリも頼んでないよ!」 努力が報われないどころか叱られた理由

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   そんなこと1ミリも頼んでないよ!バカかお前は!――こんな厳しい言葉が上司から飛び出すほどの失敗エピソードとは・・・

   相手の期待値をちゃんと把握すること、それに対して答えること。

   これはビジネスの基本ですが、案外に出来てない人が多いと思います。

   私が聞いた失敗エピソードのなかで強烈だったものを紹介します。

   ある調査プロジェクトに配属されたコンサルタント1年目のTさんは、1年目なのでまずはなんとしても努力の姿勢を見せようと、ある資料を作りました。

   その資料というのは、バインダー数冊にもおよび、いままでインタビューしたひとの議事録をあらためて作ったり、関連資料をまとめたりといったもの。

「おまけ」に力を注いでも・・・

そんなこと・・・
そんなこと・・・

   Tさんは、これを良かれとおもって、年末年始の休みを潰して自主的に作りました。

   正月明けにプロジェクトのマネージャーのもとに持っていくと、評価されるどころか、冒頭のような言葉で怒られたのです。そう、

「そんなこと1ミリも頼んでないよ!バカかお前は!」

と。

   なぜ、これが怒られることなのか、Tさんはすぐには理解できなかったようです。みなさんも、正月を潰して努力の成果を見せたのに、なぜ怒られるのか、理解できない方も多いのではないでしょうか。

   今回のエピソードは、拙書『コンサル一年目が学ぶこと』のなかのもので、「相手の期待値を把握する」という章から紹介しました。

   要点はこうです。そのプロジェクトでは、ある潜在的な成長市場の規模を予測することが求められていました。ほしいのはその数字と根拠であって、それが出ればよい。プロジェクトで頼まれているのはそこです。数字の精度をあげることの努力は、お客さんも喜びますが、おまけにインタビュー資料のまとめがあっても、たんなるおまけです。

   要するに、本筋の仕事をせずに、おまけを綺麗につくって努力を認めてもらおうとしたことに対して、激怒されたのです。その努力は全くの無駄であって、本筋の市場予測の精度の向上には何も貢献してない。マネージャーは、無駄な時間を使ったことにたいして警告をしたわけです。

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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