「裏切られた気持ちで一杯になり」退職した部長
すると社長は私に対して、「大関さん悪いが、しばらくお休みにして欲しい。基本的な線路は引いてもらったし、今の当社に余計なコストを掛ける余裕はない。後は私自身のやり方で進めていくのでご心配なく」と突然、弊社との契約休止の申し出をしてきたのです。社長のこの発言に私は大きなショックを受けました。私が契約を失うことにではなく、危機的な状況下にあってのあまりにも優先順位を誤った社長の選択に、です。
売上回復に向けて負荷がかかっている営業部隊の士気を下げるような追加の経費削減策、さらには新たな営業施策が軌道に乗る前段階での外部サポートの打ち切り。現実を直視した結果の社長の焦りがそうさせたのでしょう。オーナー一族の身入り確保を優先した追加施策は、私には明らかな優先順位選択ミスに思えました。
私に連絡をくれたTさんはこう話していました。
「大関さんが離れられた後は経費削減策が一気に加速され、社長は何の抵抗もなく社員の給与にも手をつけ大幅ダウンが断行されました。次々と辞めていく同僚や部下を見送りながら私は、『今しばらくは共に耐え忍んで欲しい』という社長の言葉を信じて、会社に残っていました。しかしある日、退職を決めた経理部長から、顔も知らぬ一族への多額の役員給与支払いの事実を知らされて裏切られた気持ちで一杯になり、私も退職を決意しました」