最近は、社員として一緒にはたらくにしても、かならずしも対面でなくてもよい「リモートワーク」を導入する企業が増えている。はたらき方の自由度が高まる一方で、よく感じやすいストレスが「通信状況の悪さ」だ。
特に遠隔で打ち合わせを実施する場合、相手の表情が見えたほうが都合がよい場合もあるため、電話ではなくSkypeなど映像を配信できるウェブサービスを使うひとも多そうだが、これが実に、よく映像や音声が途切れるのである。
ホールの壇上には指揮者の姿だけ
こうした通信トラブルは、おもに契約しているプロバイダーのインフラ設備が利用者の混雑に対応しきれないときなどに起こる。よりによって、打ち合わせがちょうど盛り上がったところで途切れると、仕事に支障をきたすこともある。
こうしたネットユーザーの不満を背景に、スウェーデンの通信会社「Telia」は、自社が提供するネット環境の快適さを訴求すべく、地元のエーテボリ交響楽団とコラボレーションする取り組みを実施した。
同楽団にコンサートホールでモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を演奏してもらうのだが、壇上には指揮者しか上がらない。その演奏者たちはどこにいるかというと、国内の遠隔5か所に分かれて演奏し、その様子をホールの壇上にならべたモニターにネット生中継するというもの。
2015年5月21日にYouTubeで公開された紹介動画を見ると、演奏者たちの多くはほかのスタジオのような場所で演奏しているようだが、中にはネットの通信が不安定になりそうな木が生い茂る森の中にいる人も。
息もぴったり
演奏は指揮者と演奏者の意思疎通、全員の息がぴったりとそろうことが肝心だが、それでもモニター越しにアイコンタクトを送り合い、一部の楽器の音色が遅れてしまうようなこともなく、演奏はスムーズに行われた。
遠隔でウェブサービスを使って打ち合わせをしていると、音声だけでも途切れることが日常茶飯事なのに、今回の取り組みは音声だけでなく映像も、さらには5か所をスムーズにつないだ。もちろん万全を期すため最高のインフラ設備のもとで実施されたものと推測されるが、Teliaの通信の快適さをアピールすることにはつながったのではないだろうか。(岡徳之)