法改正騒動で分かった、各党の「派遣」への眼差し

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派遣労働者は石っころに過ぎないのか?

   でも、これも矛盾した主張だ。社民党も当初参加した民主党政権下では、3年ルールの強化、専門26業務判断の厳格化など一連の規制強化が行われたが、終わってみれば確かに派遣労働者は減らせたものの、増えたのはパートやアルバイトであり、正社員はさらに減少してしまった=図1=。厚労省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」もそうした事実を認めつつ「パートや契約社員を中心に非正規雇用労働者は増加を続けており、派遣労働だけ規制しても意味が無い」と総括も出している。


図1:2012年「就業構造基本調査」の「結果の概要」(総務省統計局)より
図1:2012年「就業構造基本調査」の「結果の概要」(総務省統計局)より

   みずからの失政から、なぜ彼らリベラルは学ぼうとしないのだろうか。頭が悪いから、とは、筆者には思えない。先述のように、彼らは論戦において巧妙に、上記の「1」に触れるのを回避している。すべて理解した上での行動だろう。彼らからすれば、しょせん派遣労働者なんて、政敵に投げつけるための石っころに過ぎないのだろう。


   フォローしておくと、筆者は別に自民党を持ち上げる気もなくて、あの党の雇用問題に対するスタンスは基本『無関心』である。とはいえ「自分に無関心な相手」と「自分を石っころくらいに思っている相手」のどちらがマシかと言えば、まだ前者なのではないかというのが、筆者から派遣労働者へのアドバイスである。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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