「いつかは自分の会社を持ちたい!」。みなさんの中でも、一度は思ったことがある人は多いのではないでしょうか?しかし、日本の開業率を調べてみると、概ね5%程度と低いのが現状です。
起業の際に大変なのは、人材の確保だと聞いたことがあります。見ず知らずの人よりも、気心も知れた顔ぶれの方が安心できると、独立前まで勤めていた会社から仲間を引き抜く例もあるようです。しかし、状況によってはトラブルに発展してしまいます。今回は、そんな「引き抜き行為」について考えていきます。(文責:「フクロウを飼う弁護士」岩沙好幸)
メンバー全員が一斉に、退職したいと・・・
私は、IT関連のシステム会社で営業パーソンとして働いています。
部長を筆頭に5人からなる開発チームが、画期的な新システムの完成をめざして頑張っていたのですが、完成目標の数か月前になって突然、開発チームのメンバー全員が一斉に、退職したいと言いだしたのです。
全員退社などという事態になれば、目標通りの完成はとても無理で、そうなれば営業的にも死活問題です。
事情を知っている社員の話では、開発チームの部長が、新たにシステム会社を立ち上げるために、チームのメンバー全員を引き抜こうとしているとのことでした。
ヘッドハンティングという言葉もあるので、引き抜く行為自体は問題ないのかもしれませんが、開発中のシステムがある状況で、開発チーム全員を引き抜くような行為は、法的に問題ないのでしょうか?(実際の例を一部変更しています)