先日(2015年6月6日)行われたAKB総選挙。
こちらで1位をとった指原莉乃さんの、握手会に訪れるファンの2割は、中国の人だそうです。本人が取材に応えました。
投票券は、基本的に日本で売っているCDについてくるわけで、どうやって買っているのかを調べてみたら、日本在住の中国人がせっせとCDを買って、投票券をネットで売っているそうです。日本に留学している中国人大学生がお小遣い稼ぎでやっているものから、大規模なブローカーまで。
外国の人たちに自分たちのコンテンツを売る
以前、中国で行われている「広州交易会」という世界最大の見本市を観に行ったときに、iPhoneのケーブルなどが安く売ってるので「これをネットで販売したらもうかるかな?」という話をしたところ、「こういう、誰にでも価値がわかる物は、速攻で中国在住の中国人と日本在住の中国人が協力してビジネスを始めちゃうから利益はでませんよ」と言われたことを思い出しました。中国人の、こういうビジネス感覚の強さはさすがです。
そして、出演番組の数や視聴率などから、日本国内ではブームが下火になりつつあると言われているAKBですが、このような形で海外に輸出していくことで、利益を継続してつくっているのはさすがです。
今後、人口減と高齢化で間違いなく需要が減っていく日本国内で商売をしている企業は、このように外国の人たちに自分たちのコンテンツを売る方法を考えて行かなくてはなりません。
「日本のコンセプトで現地向けにアレンジして現地で作り売る」
また、AKBグループはさらに先手を打っており、このコラムでも2年以上前に紹介したJKT(ジャカルタ)48やSNH(上海)48など現地で、現地の人を使ったアイドルグループも作っています。
ちなみに、SNH48はAKB48よりも可愛い子が多くてやばい、と現地を中心にネット上で話題になっています。
そもそも、AKBがトップクラスのかわいい子を集めるというコンセプトではないのですが、中国は人口が桁違いなので、かわいい子を集めることも可能なわけです。日本のプロダクトをそのまま売りに出すAKBと、日本のコンセプトを元に現地の人材を使って現地向けのプロダクトをつくり売りに出すSNH。海外向けのビジネスを2つの方向から着々と作っている秋元康氏は、さすが天才プロデューサーと言われるだけのことはあるなと感心させられます。
このような、「日本のモノをそのまま売る」と「日本のコンセプトで現地向けにアレンジして現地で作り売る」という商売は、今後どの業界でもやらなくてはならないことです。
自社のプロダクトをいかにして外国人の方に買ってもらうかという点で、このAKBグループの売り方は非常に参考になる物だと思うので、ぜひ「自社でやるとしたらどうするか?」ということを考えてみてください。(森山たつを)