65歳未満で発症した若年性認知症の人で、就労経験のある約1400人のうち8割が勤務先を自ら退職したり、解雇されたりして定年前に辞めている――そんな実態が、患者に関する調査で明らかになった。
国や大学と共同研究をしている認知症介護研究・研修大府センター(愛知県大府市)が、厚生労働省の補助金を受けて実施した。2014年8月から12月に愛知、岐阜、福井、大阪など15府県の18~64歳の患者2129人について、施設担当者らから回答を得た。2015年4月に公表した。
発症年齢は平均51.3歳
就労経験があると答えた1411人のうち、定年前に自ら退職した人は996人(71%)、解雇された人は119人(8%)で、あわせて79%にのぼった。就労中の人は161人(11%)にとどまり、うち49人は休職中。定年退職したのは135人(10%)だった。
さらに施設担当者とは別に、本人や家族から回答があった383人のうち、発症時に就労していたのは221人(正社員120人、非常勤・パート40人)で、その後に退職や解雇となったのは、あわせて約74%だった。
発症により世帯収入が「減った」のは約59%。家計が「とても苦しい」「やや苦しい」と答えたのは40%で、今後の生活や経済状況について不安を感じている人は約75%いた。
若年性認知症の発症年齢は平均51.3歳で、いわゆる「働き盛り」にあたる。症状には個人差があるが、早期に適切な治療をはじめれば、進行を遅らせることができる場合もある。現実的に就労がむずかしいケースがあるものの、職場での配慮があれば、働き続けることができた可能性もあるとしている。