社内不正を犯した者に「自白」を促すポイント クイズ形式で3問出題

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相手に迎合するような言動をしてはならない

   最後に「問3」(不正犯した者に一切言い訳をさせてはならない)は、「×」が正解である。

   本人が不正をしたことを認めたならば、自白を促すためには、本人に「逃げ場」を与え、自らの不正行為を正当化する余地をつくることも有効な手段となり得る。例えば「△△さん、これは決してあなたの私利私欲のためにやったわけではないですよね。業績不振の▲▲部門を何とか立て直したいというあなたの責任感がそうさせてしまった。その点は理解しているつもりです」などと言うことにより、相手はある程度体面を保つことができ、不正を犯すに至った心理を素直に話しやすくなるだろう。

   不正検査士マニュアルでは、時には会社や上司を悪者にするのも一考だと書いている。例えば「何が何でもコスト削減、赤字はまかりならんと頭ごなしに言い続ける上司(会社)が、あなたに相当なプレッシャーを与えていた。そんな状況に置かれたら、誰でも行き詰ってしまうかもしれません」というような言い方である。

   しかし、この場合も、「問1」のところで述べたように、相手に迎合するような言動をしてはならない。

   いずれにしても、自白を求める前には、事前の証拠固めが不可欠である。その順番を間違えると、虚偽自白の強要という事態を招く。尋問する側は十分に注意が必要だ。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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