「この人なら分かってくれそうだ」と
さて、「問1」の答えは・・・「○」である。例えば、本人が業績目標達成のプレッシャーをどれだけ強く感じていたのか、借金等でどれだけ行き詰っていたのかについて「そこまで追い詰められていたのですね」と共感を示すことで、相手に「この人なら分かってくれそうだ。本心を話してみよう」と思ってもらえる可能性が高くなるのかもしれない。
ただし、気を付けなければならないのは、相手の境遇に理解を示しつつも、同情や迎合はしてはならない。事実を冷徹に究明する視点を失ってはならず、「正直に言えば許してもらえる」などと期待させるような言動は慎まなければならない。
次に、「問2」(「横領」「詐欺」「不正」など、犯罪に直結する言葉はできるだけ使わない)の答えは、これも「〇」である。
「なぜ利益を不正に計上したのか」と問いただすよりも「なぜ利益を計上するタイミングを早めてしまったのか」と質問したほうが、自白に対する心理的な壁はできにくいといえるだろう。同じように「会社の資金を横領した」は「会社から無断で金銭を持ちだした」に、「業者から賄賂を受け取った」は「業者から金銭を受け取った」などと言い換える工夫をするとよい。面接者が相手を「悪人」扱いすると、自白を得るのは難しくなるとマニュアルは指摘している。