就職活動が本格化する時期になると、注目されるのが「大学生の就職人気企業ランキング」。毎年、大手企業が上位を占めるのはおなじみだが、今年は、ちょっと様子が違う。
就職情報会社のダイヤモンド・ヒューマンリソースが公表した「2016年卒業予定の大学生の就職人気企業ランキング」(2015年5月12日)によると、男子では「理系・文系」ともに、「商社」がトップ4位までを独占。理系男子については、これまで人気がそれほど高くなかった「商社」のランクが、大幅に上がり、文系男子と同様、上位4社を「大手商社」が占めた。ネットでは、こうした「理系男子の商社人気」について、反発したり納得したりする声が多数寄せられている。
「理系男子は、いまやメーカー不信ですか・・・」
ダイヤモンド・ヒューマンリソースが公表した「大学生の就職人気ランキング」のうち、「理系男子」の経年変化をみてみよう。15年にトップの「三菱商事」は、13年:7位→14年:3位、15年→1位と、徐々に順位を上げている。「三井物産」も、13年には19位だったのが、14年には12位、今年は大きくジャンプアップして2位につけた。
4位の「伊藤忠商事」も、似たような傾向だ。13年の10位から、15年は6位、今年は4位と、徐々に上がってきている。3位の「住友商事」は、13年:3位→14年:7位、今年は3位と、V字回復した形だ。いずれの商社も、分かりやすく「理系男子人気」が高まっている。
これまで、理系男子の就職人気企業といえば、13年に1位、14年に2位だった「日立製作所」や、13年にトップだった「東日本旅客鉄道(JR東日本)」など、メーカーやインフラ系が強い印象だった。が、今年になって「商社人気」が急上昇したという部分が、大手新聞で報じられると、ネットでは多くのツイートが飛び交っている。
「商社が理系で1位とかwものづくり大国が聞いて呆れますね」とか、「理系大学生男子の就職人気企業ランキングの上位4社が商社。物作りが好きな奴がほぼいないってことだね。メーカーは危機感を持たなきゃね」など、「技術立国=日本」の将来を憂う声が目立つ。
かつて新卒でメーカーに入社したとみられる人からは、「理系男子は、いまやメーカー不信ですか・・・自分も、もう一度就活するとしてメーカー選んでたかどうか」と、感慨深げなつぶやきもあった。
「商社=安定」というイメージ?
一方、まとめサイトを見ると、理系男子が商社を目指す風潮について、批判的なコメントもちらほら。「今の新卒が大胆なリスクを取らないのは分かった」と、理系男子が「商社=安定」というイメージに引っ張られているのでは、という意見もある。「総合商社は基本、体育会系だな。内向き気弱なオタク系には無理だぜ」と、皮肉なコメントもあった。
また、自分も理系の大学院に行ったという人からは、「私も理系大学院行きましたが、就職したのは某商社ですね。大学の勉強なにひとつ役に立ってない」という、経験に基づいた指摘も。ツイッターでは、「外資金融・コンサルは半分近く、理系院生です。総合商社も、20%が理系院生。理系院生が文系就職すると、かなりいいところに行けます」と、理系学生が「文系就職」をすることの、メリットを主張する人もいた。(KH)