「シリコンバレーに年功給与」巡る大誤解 実は日本型「年功」とは無縁の代物

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「交渉制の給与」の問題点

   ではシリコンバレーの問題はなにか?それは「交渉制の給与」にあります。

   つまり、プロスポーツ選手と同じ。ずば抜けた実績の選手でなくても、契約のタイミングがよかったり、フリーエージェントのタイミングで引き止めたりすると、市場評価よりかなり高い年俸で契約できたりする。なぜあの選手が、あの年俸?みたいなのがよくあります。同じような活躍をしている選手とくらべても、高い低いのバラツキが大きい。

   なお、東南アジアの新興国の給与も、どちらかというと、この交渉制にちかい。企業は、たまたまその時に人手が足りないとなると、相場より高く人を雇ってなんとか仕事を回してもらわないといけなくなります。

   同じような仕事をしている別のひとより、採用タイミングがちがっただけで給与が1.5倍違うとかそういうことになって、全体のモチベーション的にはよろしくないわけです。

   一方、さきほどLockstep型は、力関係に関係なく、このポジションならいくらという定価を提示するようなもので。たしかにこちらのほうが公平かつ、見通しがよくなります。

   私は、外資系コンサル出身で、Lockstep型には馴染みがあります。とてもフェアな制度である上に、社内のモチベーションを失わない仕組みだと思います。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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