後継社長を見極めるポイント こんなタイプにはだまされるな

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「何を見るのがよろしいのでしょうか?」

   社長は、「私の見る目ですか。何を見るのがよろしいのでしょうか。なにしろ後継育成をしてこなかった私ですから」と、所在無げに尋ねます。その質問を受けた私は、後継候補不在企業の社長が、危機脱出の過程において後継に求められる資質を見出した、過去に遭遇した出来事を思い出しました。

――チェーン生活雑貨販売店経営のJ社で起きた数年前の話です。60代半ばの社長が原因不明の高熱に倒れ、緊急入院しました。従業員約100人の会社ですが、仕入れ、販売企画、現場指示、BtoB営業・・・、すべて社長が1人でこなす典型的なワンマン経営で、1店舗からスタートした事業を、主に社長1人の力で10店舗以上の規模にまで広げてきたのでした。

   年齢的な体力の衰えと共に、長年休みなく働いてきた蓄積疲労が一気に噴き出したのでしょう。「社長意識不明」が伝えられ家族以外面会謝絶が続くという異常事態に、社内はいきなり浮足立ちました。何をしていいのか茫然と立ち尽くす指示待ちの管理者がいるかと思えば、ここぞとばかりに社内の主導権を握ろうと、勝手な論理をぶつけ合い部門長同士が激しく衝突するなどという事件も勃発し、社内は無秩序状態に陥り混乱を極めました。

   混乱の理由は、「会社を託せる者などいない」という社長の考えに導かれた明確なナンバー2も後継候補もない長年の社長ワントップ状態にありました。そんな社内の混乱状況を一気に収集させたのは、一介の総務スタッフだった社長の長女だったのです。社長は娘が学校を卒業して「社長の仕事を手伝いたい」と申し出た時に、後継などという考えはおよそなく、「将来、金庫番程度ができれば」ぐらいの意識で総務部に配属したのでした。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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