なんだかんだ言っても、阿波商人最強伝説――徳島県が「人口あたりにおける社長輩出率」で初の首位に輝くと、ツイッターなどで地元関係者らから歓喜の声が寄せられた。しかし、喜ぶ人ばかりではなく、「逆に徳島は不名誉か」と残念がる人も。一体なぜ?
東京商工リサーチがまとめた「『全国社長 出身地・出身校』調査」(2015年4月発表)によると、14年調査で「社長輩出率」が最も高かった都道府県は、1.290%で徳島県だった。調査開始の2010年以来、初のトップとなった。2位は、わずか0.001ポイント差の1.289%の山形県で、こちらは調査開始以来続いていた首位の座を初めて明け渡した形となった。
分母の人口との関係で・・・
首位となった徳島県について東京商工リサーチは、堅実・実直を旨とし、実利に富む県民性で知られる、と指摘。 開廃業率自体は全国平均を下回っており、起業も少ないが倒産数も少ない、「少産少死」型だと分析している。
今回の結果を受けて、ツイッターでは「阿波商人といって、徳島は昔から商人気質だよ」「なんだかんだ阿波商人最強伝説・・・」「(徳島は)反骨精神が強くて全国チェーンを嫌う」といった、徳島県関係者とみられる人の故郷を誇る声が寄せられた。
方や、4年間守り続けた「社長輩出率首位」の座を今回、わずかの差で明け渡した山形県。「山形県が2位に落ちた~!」「ついにその座を徳島に明け渡してしまいました・・・なんとはなしに悔しいものですね」と、残念そうな声が上がっていた。
しかし、今回の数字はあくまで、輩出「数」ではなく輩出「率」。分母である人口が少ない方が、より高い数値の出やすい傾向がある。首位の徳島県の人口は、2015年1月時点で約76万人。16年連続で減少しており、輩出率は高止まり状態。対する山形県も人口減少が続いており、2015年3月には112万人まで減っている。
こうした点が気になった人もいるようで、「ん?人口が少ない程に率は上がるわけで・・・まあ一つの指標やね」「勤める会社がなきゃ、自営するしかないから」といった意見もあった。徳島関係者からは、「トホホ。逆に徳島は不名誉か」といった声もあがっており、喜んでばかりもいられない複雑な心境が伺える。もっとも、徳島県より人口が少ないが、「排出率」上位10位には入っていない県もある。(KE)